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ベトナム代表を熟知するトルシエが、
森保Jに伝えたい「危険さ」とは。
posted2019/01/24 13:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Takuya Sugiyama
フィリップ・トルシエは日本対サウジアラビア戦を、自らがディレクターを務めるハノイ郊外にある「PVFアカデミー(ベトナムのユース世代を育成する巨大な最新スポーツ施設)」でテレビ観戦した。
サウジにボールを保持されながらもキッチリと守り切った日本の戦いを、トルシエはどう評価しているのか。
また、続く準々決勝のベトナム戦を、日本、ベトナム両国をよく知る彼はどんな展開になると予想するのか。
試合後の森保監督記者会見の後、トルシエに話を聞いた。
「日本は最後まで自分たちのプレーを貫いた」
――試合には勝ちましたが厳しい内容でした。
「そうだが日本は今日も良く組織され、連帯感も強く自信も感じられた。それぞれの選手が適切なポジションを保ち、自分の役割を十分に自覚していた。
感じたのは技術的な成熟だった。個の力ではサウジアラビアが上回っていたのは明らかだったが、日本には優れてコレクティブな成熟があった。
日本はとてもよくバランスが取れていた。守備は強い密度を保っていたから、相手に破られることなく全体にポジションを維持できた。常にボールを追いかけられる位置に選手たちはいた。
日本がサウジアラビアにポゼッションを委ねたのは事実だ。実際、サウジはそれだけの力を持ちボールを保持した。
しかし、日本は一度もパニックに陥ることなくディシプリンを保ち続けた。良く組織され、よくバランスもとれていた。
たしかにキープしていたのはサウジだが、試合自体は拮抗していて日本はサウジに決定的なチャンスを与えなかった。
決して自信を失わなかったし、プレーも放棄しなかった。日本は最後まで自分たちのプレーを貫いた、ということだ」