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春高バレー、大山加奈らの提言。
「選手の将来を守ってあげたい」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2019/01/23 11:00

春高バレー、大山加奈らの提言。「選手の将来を守ってあげたい」<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

圧倒的な決定力を誇る鎮西の絶対的エース水町泰杜。清風との準決勝でも両チーム最多の25得点を挙げた。

バレーの複雑化と体への負荷。

 だからこそ、バレーボール教室で小中学校を回るたび、半月板損傷など大きなケガをしたことのある選手が増える現実、そして水町のように脚をつってもなお打ち続ける選手の姿に、警鐘を鳴らす。

「私の高校時代と比べてバレーボールが複雑になり、1つのステップに対応するだけでも体には負荷がかかっています。幸いにも私の高校時代は(下北沢成徳の)小川(良樹)監督がフィジカルトレーニングを重視していたこと、そして(荒木)絵里香や私のように体が大きな選手と体の小さい選手の運動量や体格を考慮して練習にも微妙な加減を加えてくれていました。

 その環境がなければ、私はもっと早く選手生活を終えていたと思うし、周りにいる大人がこれからの選手たちの将来を考えて、守ってあげなきゃいけないんだと思います」

日程や栄養補給の現状は?

 3月開催から1月開催、会場が代々木第一体育館から東京体育館に変わったことに加えもう1つ、開催日程も変更された。以前は3月20日から26日まで7日間に及び、1回戦を2日に分け、以後2回戦、3回戦と1日1試合が原則だった。

 だが今は始業式との兼ね合いを重視され、1月5日から5日間で行われるため、3回戦と準々決勝は同日。3回戦を4試合目に戦ったチームが、準々決勝を同じ日の6試合目に戦う、短時間でのダブルヘッダーが余儀なくされる。

 今年からは各校トレーナーがコートエンドに待機することが許可されたが、すべての学校にトレーナーがいるわけではなく、栄養補給やケアは選手やチーム、それぞれが独自に行わなければならないのが現状だ。

 専属のトレーナーがいない鎮西高校もそう。同校のOBでエースとして春高、インターハイを制覇、全日本にも選出され現役引退の後、2009年から2012年まで男子バレーボール日本代表のコーチも務めた諸隈直樹もその事態を危惧する。

「足がつるのは、高校生だから筋力的な問題だととらえられがちですが、それだけじゃない。水分、ミネラル不足なのでサプリメントや水分、栄養補給でフォローできるところも大きい。たとえ水町くんのようにかなりの本数を打つ選手がいても、そこに見合うケアは知識があればできる。でもそれを個々でやるだけでは、誤った知識になってしまうこともあります。

 今は試合中にゼリー飲料を摂取する高校も増えましたが、ただエネルギー補給だけでタイミングや効能を理解していると、より活かされてくる。彼のようにユース代表やジュニア代表にも選ばれるような将来がある、非常に優れた可能性、力を持った選手に対してはもっとバレーボール協会も含めた全体でバックアップすることが大切だし、栄養指導はもちろんですが、『1人で打つだけじゃなく、周りを活かすこともエースの役割だぞ』と指導者は、伝えられるはずです」

【次ページ】 経験則にプラスした要素を。

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