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春高直前までバラバラの金蘭会が、
女子3校目の連覇を達成できた理由。
posted2019/01/17 07:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Sho Tamura/AFLO SPORT
1位と2位の差。
金メダルと銀メダルとはいえ、同じ相手に負け続けて来たせいだろうか。勝つことの喜びがこんなに爆発したのは初めてだった。7年ぶりの優勝を目指した東九州龍谷(大分)との決勝戦をフルセットの末に制し、2011年の開催時期移行以後、女子では3校目となった連覇を達成した金蘭会(大阪)、中川つかさ主将は涙で言葉を詰まらせた。
「1年間ずっと負けていたので。ずっと悔しかったけれど、最後に勝つことができて本当によかったです」
準優勝でも内容はボロボロ。
ユース代表やジュニア代表を揃え、優勝候補の大本命とされた金蘭会だが、インターハイ、国体はどちらも準優勝。エリート軍団の前に二度とも立ちはだかったのは、下北沢成徳(東京)だった。
とはいえどちらの大会も決勝まで進出しているのは事実であり、敗れた相手が同じだっただけで、結果は準優勝。それほどまでに「敗者」と口にしなくても、そう言葉を向けると、金蘭会の池条義則監督は苦笑いを浮かべた。
「負けたと言っても準優勝。それは確かです。でも何しろ、負け方が強烈だった。インターハイでは何もさせてもらえず完敗。国体も1セットを取ったけれどその後は一方的にやられた。何をすれば成徳に勝てるんだ、と思わされるぐらい、内容はボロボロでした」
下北沢成徳は1年時からレギュラーとして出場するエースの石川真佑に注目が集まりがちだが、負け続けた金蘭会の中川は「成徳が真佑だけのチームと思ったことは一度もない」と言う。高さではなくスピードも活かす仁井田桃子やリベロの依田茉衣子、攻守のキーマンとなる選手が揃い、総合力の高さで金蘭会を上回ってきた。