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春高バレー、大山加奈らの提言。
「選手の将来を守ってあげたい」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2019/01/23 11:00

春高バレー、大山加奈らの提言。「選手の将来を守ってあげたい」<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

圧倒的な決定力を誇る鎮西の絶対的エース水町泰杜。清風との準決勝でも両チーム最多の25得点を挙げた。

抜群の能力を持つ「4年生」。

 抜群のセンスとテクニックを擁し、1年時から出場した昨年の春高、インターハイを制覇。運動能力の高さに加え、どこにボールを落とすのが効果的で、その前にどう助走に入れば相手を惑わすことができるかといった判断能力も備えたクレバーな選手で、鎮西高を1974年から指導する畑野久雄監督も1年時から「水町は高校4年生」と話すほど、高く評価している。

 とにかくどんな状況でもエースが打て、とエース勝負を推奨する鎮西で、昨年は鍬田憲伸と水町が二本柱として活躍したが、鍬田が抜けた今年、試合中のトスは大げさではなく7割近くが水町に上がると言っても過言ではない。

 それだけ水町の能力が高いことの裏付けであり、そこに打ち克つ精神力も求められるからこそ、エース勝負に重きを置く。逃げずに攻める、精神力や技術を鍛えることに加え、勝負所で決めてくれ、と託されるのは勝敗を左右する存在である「エース」と呼ばれる存在にとっては本望だ。

相手校の徹底的な水町対策。

 2年生ながら主将に任命された水町も責任感が強く高い技術も備え、まさにエースであるのは間違いない。だが、当然大きな負荷もかかる。自身も「どんな状況でも自分が決めることが役割だと思っている」と言うが、181cmで常にフルジャンプをして攻撃に入る負担は体に表れる。

 連戦が続く夏のインターハイ、そして春高の準々決勝の近江戦でも両脚をつり、最終セットの中盤からはジャンプはできても着地するのに片足をつくだけで生じる痛みに、顔をゆがめるほどだった。

 連覇を目指した鎮西だが、準決勝は清風に完敗。試合序盤に水町の対角に入る日車恭輔の顔面にボールが当たり途中でコートを退いたことも重なり、いつも以上に水町のもとにトスが集まる。

 清風・山口誠監督が「水町くんが輝けば輝くほどうちに流れが来る。6人で守って、6人で攻めようと言い続けた」と言うように、水町の攻撃に対するブロック、レシーブは完璧で、為すすべもない。

 ストレート負けを喫した水町は「大事なところで決めきれなかった。自分が不甲斐ないプレーをしたことに、今すごく、情けなさを感じています」と責任を一身に背負い、肩を落とした。

【次ページ】 戦力、台所事情ゆえの戦略。

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