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バレー清水邦広、復帰も再び膝手術。
度重なる試練もコートに必ず戻る。
posted2019/02/12 10:45
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Panasonic PANTHERS
2008年の北京五輪に出場し、その後、全日本の主将も務めたオポジット清水邦広(パナソニックパンサーズ)が、349日ぶりにコートに帰ってきた。
2月2日、熊本県立総合体育館で行われたパナソニック対サントリーサンバーズ戦。第1セット23-15の場面で、大竹壱青に代わり、清水がコートに入った。大怪我を負った昨年2月18日以来の公式戦出場である。
1本目のスパイクは、リベロ永野健のバックトスを、ストレートのコースに打ち抜き、エンドラインギリギリに決めてみせた。「緊張した」と言いながらも、「ブロックが2枚来ていたけど、ストレートが空いていたので打ちやすかった。しっかり見えていました」と冷静だった。
後衛に下がった清水はサーブを打った後、大竹と交代した。ベンチに戻った32歳は小躍りしながらアップゾーンに向かい、「若手みたいやな」と笑いながら同級生の福澤達哉たちとハイタッチを交わした。
「久々すぎて、喜び方を忘れてました」
約1年ぶりに決めたスパイクを振り返り、清水はこう言って笑った。
「決めた後、もっと永野さんとかと喜びたかったんですけど、ちょっと照れくさいというか……。すぐにサーブを打ちに行ってしまった。今考えたら、もう少し喜びを噛みしめたかったなーと思います」
「万全で打って決めてもらいたい」
この1点までの攻防には、チームメイトの様々な思いが詰まっていた。
清水が入りサントリーに16点目を取られた後、パナソニックはサーブレシーブが崩れ、セッターの深津英臣が走ってトスを上げにいく。清水にトスが上がるか、と会場中が注目する中、深津は2本続けてレフトの久原翼にトスを上げた。
「相手は(ブロックの低い)セッターが(久原の)前でしたから。清水さんも勝つためにコートに入ってきてくれたと思うので、お世辞で上げるとかそういうのではなく、僕も勝つために一番いい選択をしようと思って上げました」
何より、復帰1本目は「万全の状況の時に打って決めてもらいたい」という思いが深津にはあった。