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3年目のモウリーニョがついに解任。
マンUはチェルシーと同じ道を辿る?
posted2018/12/22 11:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Uniphoto press
ようこそ、チェルシーの世界へ。
マンチェスター・ユナイテッドでのジョゼ・モウリーニョ解任を受けてそう言ったら、イングランド伝統の強豪をサポートする人々からお叱りを受けるだろうか?
12月18日に職を追われたモウリーニョは、マンUのこの5年間で首を切られた3人目の監督だ。暫定監督を含めれば、今季末までの舵取りを任されることが決まったオレ・グンナー・スールシャールまで、計5名が指揮を取ったことになる。
2013年にサー・アレックス・ファーガソンが監督を勇退して以来、マンUは失われた強豪の風格を取り戻そうともがいている。その監督交代劇は頻度といい、冷酷さといい、「失業保険給付所」と揶揄されても強豪に成り上がったチェルシーも顔負けだ。
偉大なファーガソンの後継者に抜擢されたデイビッド・モイーズは、6年契約の1年目すら終えられなかった。続く監督は、ビッグクラブでの経験も豊富なルイス・ファンハール。そんな重鎮の1人も、就任2年目にFAカップ優勝を果たした2日後に解任された。
そして、今季のモウリーニョである。
若手の心を掴むどころか。
リーグカップとヨーロッパリーグの2冠を獲って1シーズン目を終え、2シーズン目にはファーガソン後最高となるリーグ2位に押し上げたが、3シーズン目の折り返し地点を前にクラブを去った。なおモウリーニョにとって、3年目という解任のタイミングまでチェルシーでの解任劇と同じときている。
成績不振でムードが悪化し、リーグ優勝どころか、トップ4争いからも早期脱落が危惧されるなかでの解任も同様だ。
つまり、同じ失敗を繰り返したモウリーニョにも責任はあった。3年前と変わらない結果に、国内メディアは「時代の流れについていけなかった」との評価を下した。内容よりも結果にこだわる戦い方と、公の場で苦言を呈する若手の扱い方が、選手の心を掴むどころか、逆に遠ざけているということだ。
今季は開幕1カ月目からの連敗で出遅れた。堅守志向のモウリーニョが負けない戦い方を意識しても無理はなかったが、守備的な戦い方に終始していたわけではない。その一方で、選手の奮起を狙った酷評、またベンチに置くという「鞭」を多用しすぎたような気がする。