プレミアリーグの時間BACK NUMBER
3年目のモウリーニョがついに解任。
マンUはチェルシーと同じ道を辿る?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto press
posted2018/12/22 11:30
またも3年目でクラブを去ったモウリーニョ。ユナイテッドの行く末はどこへ?
ポグバとの関係性が象徴的。
金融畑出身のエド・ウッドウォードCEOが経営実権を握るマンUは、昨季も世界一の座を維持したクラブ収益に基づく「マネー・リーグ」でのみ、真の強豪であり続けている。
その一方でモウリーニョがポグバらとの関係を悪化させる結果となったのも、サッカーの現場よりビジネスが重視される「文化」が生まれたからではないか。
W杯優勝メンバーのポグバは、フロントにとって最大の商品価値を持つ人気者だ。そんなマンUの「広告塔」に対してモウリーニョは、副キャプテンからの降格を命じたり「病原菌」と非難した。それは経営陣に監督と選手という上下関係を示そうとしたとも解釈できる。
悪気はなかったとしても、ポグバは監督が禁じていたはずのロッカールーム内での映像をSNSにアップロードした。モウリーニョの首が飛ぶと偶然とは思い難いタイミングで、悪戯っぽい笑みを浮かべる写真を投稿してもいる。選手たちがそうした行動を取る環境が、モウリーニョが人心掌握に苦しんだマンUの現状なのだ。
スールシャールも厳しい境遇。
後任のスールシャールも、心して仕事に当たらなければならない。祖国ノルウェーリーグのモルデ監督を辞してまで就任要請に応えた元FWにとって、マンUは11年間を過ごした古巣である。
それも、1999年のCL優勝に導くゴールを決めた「心のクラブ」で、レジェンドとしてのステータスを持つ。志向するスタイルもマンUの伝統と合致する攻撃的サッカーだ。そして年齢もモウリーニョよりも10歳、現役世代に近い。
だが、監督としての経験の少なさはデメリットだろう。欧州主要リーグでの指揮経験は、2014年のカーディフでの約8カ月間しかなく、2部降格を回避できなかった。
そのカーディフとの対戦を皮切りに、ハダーズフィールド、ボーンマス、ニューカッスルと、年始まで続く中位以下との試合でつまづき、試行錯誤を繰り返せば、選手から実力不足の監督として見下される危険性もある。
一方、クラブは今季終了後、正監督を呼び寄せる意向のようだ。ネームバリューではジネディーヌ・ジダン、プレミア優勝実績ではアントニオ・コンテ、マンUとの縁では元DFのローラン・ブランといった名が噂にあがるなか、本命視されているのは現トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノだ。