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クラブW杯3連覇したマドリーが、
完全復調と太鼓判を押せない理由。
posted2018/12/25 16:30
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
鹿島アントラーズがチャンピオンに一泡吹かせるとすれば、キックオフ直後から激しく拳を振り回し、とにかく先制パンチを一発当てるしかなかった。
レアル・マドリーと対戦した、クラブワールドカップ(CWC)準決勝の話だ。
開始2分のセルジーニョの強烈なシュートがGKティボウ・クルトワに弾き出されていなければ、直後のCKに飛び込んだ昌子源のヘディングが上手くヒットしていれば、あるいは金星も挙げられたかもしれない。
そう思うのには、理由がある。
今シーズン、CWCの2試合を含め、ここまで公式戦27試合を戦ってきたマドリーだが、逆転勝利はラ・リーガ2節・ジローナ戦の1試合のみ。先制されると反発力を示せず、そのままずるずると敗れる傾向は、ジュレン・ロペテギからサンティアゴ・ソラーリに指揮権が移ってからも、実は変わっていない。
クルトワのセーブに救われて。
その肩書から“暫定”の2文字が取れ、正式な監督として臨んだ最初のゲームで、ソラーリは格下のエイバルに0-3の完敗を喫している。
また、12月12日のチャンピオンズリーグ(CL)では、CSKAモスクワに同じく0-3で敗北。すでにグループステージの1位通過が決まっており、控えメンバー中心で戦ったとはいえ、本拠地サンティアゴ・ベルナベウでの惨敗は──CSKAにはアウェーでも0-1で敗れていただけに──サポーターにとって容認できるものではなかっただろう。
リーガではエイバルに敗れた後、14節にバレンシア(2-0)、15節にウエスカ(1-0)、16節にラージョ・バジェカーノ(1-0)をいずれもシャットアウトで下し、3連勝。結果だけを見れば復調傾向とも捉えられるが、その内容は決して満足できるものではない。
守護神クルトワのビッグセーブに救われたシーンは数え切れないほどで、とりわけウエスカ戦の終盤は、この昇格クラブに攻め立てられて息も絶え絶えだった。