プレミアリーグの時間BACK NUMBER
3年目のモウリーニョがついに解任。
マンUはチェルシーと同じ道を辿る?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto press
posted2018/12/22 11:30
またも3年目でクラブを去ったモウリーニョ。ユナイテッドの行く末はどこへ?
身内に対する発言の妥当さ。
解任の報を「残念」な知らせと受け取ったのは、一握りに過ぎないだろう。31歳のマルアヌ・フェライニは持ち前のフィジカルが重宝され、モウリーニョ風に言えば「ともに命懸けで戦地に繰り出せる同志」的なメンタリティもあった世代なのだろう。
その点、中盤の核であるポール・ポグバや、得点源であるロメル・ルカクらは'90年生まれ。さらに、スコット・マクトミネイやマーカス・ラッシュフォードは'90年代後半の生まれだ。その新世代は、モウリーニョ流のマンマネジメントに耐えられないというより、耐えるつもりすらないように感じることもあった。
敵地アンフィールドでのリバプール戦でも奮起が見られなかった。元マンU主将のポール・インスが「まるで監督を解任に追い込もうとしているみたいだ」とコメントした、モウリーニョ体制下でのラストゲームが最たる例だ。
ただ擁護するわけではないが、モウリーニョの身内に対する厳しい発言は、その大半が「もっとも」と思えるものだった。
ピッチよりもビジネス優先。
例えば、フロントの新センターバック獲得の鈍さは、開幕前から言っていたことだ。昨季契約延長に合意したこともあり、夏の補強では希望がかなうと思っていたはずだろう。
クリス・スモーリング、フィル・ジョーンズ、エリック・バイリー、ビクトル・リンデロフらが誰も“要”になれず、SBも33歳のアシュリー・ヤングが重宝される最終ラインは心許ない。
後方に「安心感」を与えるセンターバックは、攻撃色を強める上でも必要なはずだった。チームを受け継ぐスールシャールも『デイリー・ミラー』紙の報道で予算5000万ポンド(70億円強)とされる冬の移籍市場で、CB獲得を望むに違いない。
モウリーニョの要望が通らなかった理由は、獲得候補の高すぎた移籍金にある。監督の首をすげ替えた経営陣たちも、ピッチよりもビジネス寄りの判断が優先されるのは改めるべきだ。
貢献度が費用に見合わない筆頭は、推定年俸2600万ポンド(約37億円)のアレクシス・サンチェスだ。しかし投資家を交えた会合で「冬に移籍した選手では過去最高のレプリカユニホーム売上を記録」という説明で正当性がまかり通ってしまうのが、現在のマンUなのだ。