細かいスペースでも仕事を。

　一方で、欧州とアジアの戦いの違いに「テンポ」を挙げる伊藤は、さらなる成長のために自分の強みではない部分を高める必要があると説いた。

「時間をかければ相手が下がってきてスペースがどんどん狭くなる。その細かいスペースで本当に仕事をできるようにしないといけないし、そこは僕のストロングではないところなので、そういうのはもっと意識していきたい」

　課題はもちろんある。それでも彼のドリブルや状況を打開する能力はA代表でジョーカー的な存在となってもおかしくないだろう。

ボランチで中山、左サイドは杉岡。

　また東京五輪世代の中心となりつつある中山雄太（柏）と、今年のルヴァンカップでMVPを獲得した杉岡大暉（湘南）にも触れておきたい。

　U-21日本代表でボランチに定着しつつある中山は、技術も申し分なく攻守に存在感を出せるタイプだ。今遠征でもボランチで3試合に出場。しっかりと体を当ててボールを奪取するなど守備面で高い能力を見せると、攻撃面では視野の広さを利用した長短のパスを繰り出し、前線への飛び出しからゴールにも迫った。

　クラブチームではCBを任されていることもあって、久々のポジションに慣れるのに時間がかかったところもあるが、チームの核であることを証明するパフォーマンスを見せた。

　堂安や冨安の活躍に「刺激になると同時に悔しいし、自分が食い込んでいけないと焦らされる部分もある。そこに行けていない現状をしっかり捉えつつやっていきたい」と表現した中山だが、さらに攻守の質を上げていけばA代表に割って入っていくだけの力はあるはず。

　そしてルヴァンカップで一気に知名度を上げた杉岡も、UAEでは上々の出来だった。2試合に先発出場すると、第3戦のUAE戦では貴重な同点弾をアシスト。湘南で培ったハードワークを90分間通してやりきり、大胆な動き出しやドリブルといった攻撃的な姿勢も披露した。

【次ページ】　森保監督が兼任だからこそ。