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錦織圭も復帰舞台とした下部大会。
直面する日本開催減の危機とは?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHyogo Tennis Association
posted2018/11/24 09:00
今年の兵庫ノアチャレンジャーの表彰式。こういった下部大会の存在はテニス選手にとって貴重である。
添田、綿貫、西岡、伊藤が。
それは結果に表れている。その添田にシングルスの準々決勝で勝った綿貫は準決勝で西岡にも勝ってチャレンジャー初の決勝進出を果たし、優勝は逃したものの世界ランクを236位から一気に188位まで上げた。
そして、優勝してグランドスラムへの復帰に向けて弾みをつけた伊藤にとっては、これが6年ぶり7度目となるチャレンジャー優勝だが、その7度の優勝のうち4つが日本での大会だ。
表彰式でプレゼンターを務めた冠スポンサーのノアインドアステージ株式会社の大西雅之社長は、大会の意義をこう感じている。
「今、関西では日本のトップ選手や海外の選手のプレーを見る場がないので非常に意味のある大会ですし、私たちのように大企業ではなくテニススクールを運営する一企業が、このようなかたちで携わらせていただいていることは誇りにも感じています。
お客さんが楽しむ顔を見るのはうれしいですし、ここに出場した選手たちが世界のトップまで成長してくれれば、さらにうれしいことです」
予選で負ければ賞金はゼロ。
来年は5年契約のラストイヤーであり、大西社長の言葉からは継続に前向きな思いも感じられたが、もともとはこの時期に日本で3大会続いた大会の1つだっただけに、孤立した状況は決して好ましくない。2週、3週と日本で大会が続いてシリーズ化されれば選手たちの移動はより効率的になり、海外からの選手の足も向きやすい。
京田ディレクターも、「予選で負ければ賞金はゼロです。同じ地域でせめてもう一つ大会が続けば、選手のリスクは抑えられる。それが理想ですが、スポンサーがつかないことには開催できませんので」と現状を不安視する。