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錦織圭も復帰舞台とした下部大会。
直面する日本開催減の危機とは?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHyogo Tennis Association
posted2018/11/24 09:00
今年の兵庫ノアチャレンジャーの表彰式。こういった下部大会の存在はテニス選手にとって貴重である。
錦織や大坂がいなくても。
1週間を通して約1万5000人。ツアー大会なら1日で動員する観客の数だが、トーナメントディレクターの京田弘幸氏は、「この場所を考えれば、平日でも1000人近い人に来てもらえるのはありがたいことです。こんな僻地になんでこれだけの人が来るのかってATPのスーパーバイザーも驚いていました」と話す。
日本には、錦織や大坂なおみがいなくても、海外のトップ選手が来なくても、このレベルの選手たちを応援したい、そのプレーを見たいという熱心で良質なテニスファンが相当数いるのだ。特に、ツアー大会が男子1大会、女子2大会しかない日本においてチャレンジャー大会は、そんなファンの欲求をわずかでも満たす数少ない機会である。
しかしそのチャレンジャー大会の存続さえ、いま日本では危機的状況にある。
国内大会が減る現実。
昨年まで、この翌週に愛知県豊田市で同じく賞金5万ドルの大会があり、2~3月には京都チャレンジャー、慶應チャレンジャーとやはり2週続いていた。年間4大会でも決して多いわけではなく、中国には12大会、韓国でも4大会あることを考えれば、「あと1、2大会増やしてほしい」というのが日本の選手たちの本音だった。
ところが、増えるどころか今年はダンロップがスポンサーだった豊田の大会がまず消え、島津製作所がスポンサーである京都チャレンジャーも来年は開催されない。京都のほうは、正確に言うと国内JTA大会に変更になる。
同時開催していた女子のJTA大会を国際大会にしたいという島津製作所の意向に沿ったものだという。男女とも国際大会にするにはコート面数など施設面で規定の条件を満たさないので、そうせざるをえなかった。
選手にとって自国で開催される国際大会はいろいろな面で“地の利”があり、ポイントを稼ぐチャンスだ。今大会のダブルスで決勝に進んだ34歳の添田豪は、ホームでのプレーの心地好さについてこう話した。
「日本の場合はお客さんが多いこともあってやっぱり気分が上がりますし、他の日本選手もがんばっているから刺激し合えるところもあります。たとえば中国には大会がたくさんあって施設もすばらしいですけど、スタンドには関係者しかいないということもよくあります。
大会中の生活の面でも、細かなところで少しずつストレスがたまっていきますし。そういう意味で日本はやっぱり快適です」