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錦織圭も復帰舞台とした下部大会。
直面する日本開催減の危機とは?
posted2018/11/24 09:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hyogo Tennis Association
ロンドンで盛大にATPファイナルズが開催されていた先週、兵庫県三木市にあるブルボンビーンズドームで賞金5万ドルのチャレンジャー大会『兵庫ノアチャレンジャー』が開催されていた。残念ながら、このレベルの大会のことは新聞やテレビではまったくといっていいほど報じられない。
しかし、未来のスター選手を発見できたり、かつてツアーレベルで戦っていた選手の復活劇を目撃できたり、チャレンジャー大会にはツウが好むドラマがある。今年、錦織圭も手首のケガからの復帰の舞台に選んだのはアメリカのチャレンジャー大会だった。
一昨年の兵庫のチャンピオンであるチョン・ヒョンは、今年の全豪オープンで準決勝まで進出して一躍スターになった。3年前の第1回優勝者であるジョン・ミルマンは、昨年「また来年」と笑顔で去ったが、今季は世界ランクを30位台に上げる活躍でここに戻って来ることはなかった。
大リーグで言えば“3A”。
駆け上がっていく者、不振にあえぐ者、長い間そのレベルにのみ止まる者――“メジャー”の一歩手前という意味では、野球好きの人なら“3A”といえばチャレンジャーの位置づけが理解しやすいだろうか。
特にツアーレベルの大会がすでにシーズン終了しているこの時期、全豪オープンのエントリーのデッドラインとなっている12月の第2月曜に向けて、本戦入りできるかどうかという100位台前半の選手たちにとっての必死のラストスパートが世界中のチャレンジャー大会で繰り広げられる。
少しでも高いランキングで来シーズンをスタートさせたいという50~100位の選手も少なくない。
兵庫には、膝のケガからの復活の年に世界ランクを81位まで戻してきた西岡良仁がトップシードとして出場。そのほか、楽天オープンでツアー初勝利を挙げるなど躍進する20歳の綿貫陽介、全日本選手権で5年ぶり2度目のチャンピオンとなったばかりの伊藤竜馬といった注目選手たちが勝ち進み、土日は計7000人あまりの観客が、決して交通の便の良くないビーンズドームに足を運んだ。