プロ野球亭日乗BACK NUMBER
WBCでは得られない東京五輪対策。
日米野球で秋山翔吾が体得した技。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2018/11/14 14:30
高校、大学でも経験したことのないという、自身初めてのランニングホームランも決めた秋山翔吾。
「ボールの強さ」への対応が課題。
結局秋山は第2戦で対応を変えたことで、右中間三塁打を含む3安打3打点の活躍。そしてこの日も7回まで0行進が続く中で、8回に左翼線にライナーの打球を放つと、これにフアン・ソト外野手(ワシントン・ナショナルズ)が飛び込んだ脇を抜けてボールが転がる間に一気に生還。「プロではもちろん高校、大学でも経験がない」というランニングホームランで反撃の狼煙をあげる働きを見せたのだ。
実はこの「ボールの強さ」に対する対応は、2年後の五輪で金メダルを狙う日本代表にとっては、大きな課題になるはずなのである。
おそらくメジャーリーガーが参加しない五輪のアメリカ代表は、3Aクラスや大学のトップ選手の選抜チームとなる可能性が強い。
ただ、1つ注目しなければならないのが開催時期だった。
東京五輪とWBCとの違いとは?
東京五輪の行われる8月は野球のトップシーズン。代表に入ってくる各国の選手たちは、それぞれコンディション面が完璧に出来上がった状態で出場してくる。3月に開催されるWBCとの一番の違いがそこにあるわけだ。
シーズン前でもバッチリと仕上げて大会に臨む日本代表に比べて、WBCに出場する各国のメジャーの選手たちは、多少、早めに仕上げてはいるが、それでもまだまだ調整段階で完全に仕上がった状態ではない。
しかし五輪では3Aクラスとはいえ、完全にコンディションの出来上がった状態の投手と対戦することになるわけだ。
今回の日米野球でWBCとの一番の違いを感じられる部分もそこにある。シーズン終了後の時間的なラグはあるものの、それでも1度、完全に出来上がった投手たちが、再調整して出場してきおり、肩は出来上がっている。
そこで最も大きな違いが出てくるのが、ボールの「質」というよりも「強さ」というわけだった。