プロ野球亭日乗BACK NUMBER
WBCでは得られない東京五輪対策。
日米野球で秋山翔吾が体得した技。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2018/11/14 14:30
高校、大学でも経験したことのないという、自身初めてのランニングホームランも決めた秋山翔吾。
問題は動くボールだけではない。
「動くボールという風によく言われるけど、それだけじゃない。真っ直ぐでも変化球でも『ボールの強さ』があるのが非常に印象的ですね。それをどう崩していくか。そういう意味ではこの日米野球で対戦して実際にバッターがその強さを経験した意義は大きいと思います」
こう語るのは秋山翔吾外野手(西武)だった。
これまでも「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」などで対戦するたびに、語られてきたメジャーの動くボール。しかし、今回の日米野球でもう1つ厄介な要素としてクローズアップされているのが、実は「ボールの強さ」という要素だった。
そのことを一番、実感しているのが昨年のWBCでも代表メンバー入りして、アメリカ代表との試合を経験している秋山だったのである。
「WBCのときはとにかく対応することだけだったので、それほど感じなかったですけど、やっぱりそういうボールの強さはすごく感じます。まっすぐに関してはどのピッチャーも日本の投手に比べてスピードだったりで、押される感じがある」
打ってすぐに走れない、ボールの重さ。
秋山は第1戦の5回にマット・アンドリース投手(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)の147キロのストレートを左翼線に二塁打している。そのときにもボールの強さをこんな風に表現していた。
「あそこまで押されるかっていうくらいで、打った瞬間、すぐに走れなかったくらいボールに力を感じました」
そうして第2戦で導き出した対応が、ポイントを少し前に出すことだった。
「動くボールを引っ掛けないことをメインに考えていたんですけど、そうなるとどうしてもボールを(身体に近い)中に入れがちじゃないですか。長く見たいし、どう変化するか見たい。
でも、今の僕のスイングスピードや対応力だと、普通にフォーシームのきれいなボールに対しての反応が遅すぎて。感覚的には振るタイミングにもならないくらい差されていたんです」