酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ラミレスはやはり名監督なのでは?
得失点-70で4位を維持する能力。
posted2018/11/15 07:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
今オフ、3年前に就任した3人のセ・リーグ球団の監督が明暗を分けた。
巨人の高橋由伸監督と、阪神の金本知憲監督が退任。DeNAのアレックス・ラミレス監督も一旦は辞意を表明したが、球団に慰留され留任が決まった。3人ともこの3年リーグ制覇を逃したのだから、仕方がないともいえる。
しかし、子細に成績を比較してみると、2人が辞めて1人が留任したのは、自然なことだったのではないかとも思えてくる。
3人の監督の通算成績を見てみよう。
高橋由伸(巨)429試210勝208敗11分 勝率.502 2位・4位・3位
ラミレス(D)429試209勝210敗10分 勝率.499 3位・3位・4位
金本知憲(神)429試204勝216敗9分 勝率.486 4位・2位・6位
3人とも5割ちょぼちょぼ、CS進出は高橋、ラミレスが2回、金本が1回。似たような成績だ。
阪神の金本が退任したのは、今年、2001年以来の最下位になったのが大きいだろう。
巨人の場合は「常勝」を義務づけられている。そもそもCSに出たぐらいでは合格とはいえない。2014年以来4年間も優勝から遠ざかったのはけしからん! ということだろう。
それに比べればDeNAの監督の椅子はやや軽いともいえる。なにしろ2007年にCSが導入されて以来、2015年まで一度も3位以上になったことがなかったのだから。2016年、チームをはじめて3位に押し上げたラミレス監督は「よくやった」と言われた。観客動員も急増しているし、上出来というところかもしれない。
3球団、3人の監督は乗り越えるべき「ハードルの高さ」が違ったから明暗が分かれたと言えなくもない。
得失点と勝率の関係は?
しかしそれだけではないのだ。
「ピタゴラス勝率」という指標がある。MLBではよく引き合いに出される数字で、チームの得失点から勝敗を予想するとどうなるか、という指標だ。
得点の二乗を、得点の二乗と失点の二乗を足したもので割って、出てくる数字が予想勝率となる。もちろん得点が多く、失点が少ない方が勝率は高くなる。なぜピタゴラス勝率というかと言えば、この数式がピタゴラスの定理に似ているからだ。