“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
幼稚園、五輪、森保Jでまた一緒に。
室屋成が南野拓実への引け目を払拭。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJFA/AFLO
posted2018/09/16 17:00
南野拓実を少し後ろから追う立場だった室屋成。23歳となり、心理的な引け目は、もういらない。
「僕も拓実もまだまだこれから」
裏を返せば、以前まではかなり気にしていたのだろうか。
「そうですね。やっぱり拓実が活躍する中で“俺も!”という想いが常にあった。でも、一昨年プロになって以来、誰かと比べるのではなく、監督が求めていることだけではなく、自分の特徴をどんどん出していかないと生き残れないということでした。特に今年からこの想いは強くなったんです」
この境地に達したことで、自身に大きな変化が生じた。
「今日やってみて、拓実と物凄くプレーしやすくなった気がしたんです。今までは正直、拓実をちょっと意識してしまっていた。その分、常に“拓実に合わせよう”という気持ちがあった。でも今回感じたことは、自分が主導権を持って、南野や他の選手を動かそう、例えば“俺のクロスに入って来いよ”という思考になりました」
もちろん「拓実は本当に大切な存在。それは今日でより強く思った」と口にしたように、南野拓実は彼にとって、かけがえのない存在であることは間違いない。
だが、どこかにあったコンプレックスを振り払い、純粋な幼馴染、仲間、そしてライバルとして見られるようになったのだろう。ようやく“優劣の呪縛”から解き放たれたとも言える。
「まだまだ僕も拓実もこれからだと思うので、もっともっと上の舞台でプレーしたいなという気持ちが今日新たに生まれました」
真の意味で同じステージに立った南野と室屋。この2人が紡ぎ出す物語は、コスタリカ戦から“新章”に入った。