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幼稚園、五輪、森保Jでまた一緒に。
室屋成が南野拓実への引け目を払拭。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byJFA/AFLO

posted2018/09/16 17:00

幼稚園、五輪、森保Jでまた一緒に。室屋成が南野拓実への引け目を払拭。<Number Web> photograph by JFA/AFLO

南野拓実を少し後ろから追う立場だった室屋成。23歳となり、心理的な引け目は、もういらない。

2人の連係で生み出したチャンス。

 15分の先制点を生み出した右CKは、室屋と南野が生み出したものだ。堂安からのパス、右サイド裏に走り出した南野を見逃さず、スルーパスを送り込んだ。そして南野は鋭い反転から中に仕掛けてCKを獲得した。この時、室屋はフォローの動きで南野をサポートしたのも見逃せない。彼らの中で意思統一ができていたからこそだ。

 南野は代表初ゴールを挙げるなどの活躍を見せ、室屋は終盤の接触プレーの影響もあり、82分に交代したが、3-0の勝利に貢献した。そんな2人からは、これまでと違う関係性を感じた。南野は南野のままだが、室屋に大きな変化があったのだ。

 それは心の成長だった。

「何にも気にしなくなりました」

 試合後のミックスゾーンで、室屋は報道陣に囲まれた。当然、南野に関する質問もあった。

「きっちりと守れたし、攻撃でもうまくコンビネーションができてよかった。前線の選手といろんな話をできて実践できたことは大きかったです。(小林)悠くんが間に入って来てくれてクサビを入れやすかったし、(中島)翔哉や(堂安)律がドリブルで剥がしてくれた分だけ、上がるタイミングもあった。

 拓実もそうですが、前の選手はみんな受けるタイミングが上手いので、単純に当てやすかったですね。同じピッチに立てたことは嬉しいですが……2人で話はしたけど、特別なことは話していませんよ」

 囲みの輪が解けてから、筆者は素直な想いをぶつけてみた。すると彼は少し考え込んだ。

「……なんか結構、しょうもないことかもしれないですけど」

 前置きして、こう口を開いた。

「もう何にも気にしなくなりました。誰かと比べることをやめましたし、試合中もそうですけど、周りを気にする思考がなくなりましたね。最初はあえてそう思わない、気にしないということを心に決めてやっていたのですが、繰り返していたら徐々に自然となくなってましたね」

【次ページ】 「僕も拓実もまだまだこれから」

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