欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
アーセナルでエメリが探す新布陣。
ガードは不安でも4-3-3が最適か。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto press
posted2018/09/07 17:00
監督は代われど、アーセナルの攻撃を担うのはやはりオーバメヤン(左)とエジルだ。
中盤の一角にトレイラはどうか。
中盤の一角に、なぜルーカス・トレイラを起用しないのだろうか。豊富な運動量で広範囲をカバーし、鋭く、フェアなタックルでボールを奪う。ボールを素早く動かし、攻守を円滑にする作業は、ウルグアイ代表として出場したワールドカップでも、とくに専門家筋から高く評価された。
「ワールドカップの疲れがまだ残っているから」と、エメリはトレイラのコンディションに気を遣っていた。しかし傷口が大きくならないうちに、「LUCAS TORREIRA」の名をスターティング・ラインナップに書き込まなければならない。
グラニト・ジャカは突如として集中力が切れる悪癖が治っていない。マテオ・ゲンドゥージは前線にボールを供給できない。どちらかひとりをトレイラに変えるだけで、もしくは彼とモハメド・エルネニを中盤センターに並べるだけで、守備バランスは向上する確率が高い。
そして中盤は守備に重きを置くことが、メスト・エジルを最大限に活かす得策でもある。
エジルをトップ下で活かすために。
サイドでは孤立する。カーディフ戦の前半も存在感が希薄だった。しかし、後半は前線の背後に位置し、その才能を存分に発揮した。深い位置に降りてきてパスを受けたり、ライン間に位置するFWに絶妙のフィードを配したり、エジルは当代屈指のコンダクターであることを改めて証明した。
プレーの強度が緩く、守備への貢献度も低いため、エジルに対する批判は少なくはない。かくいう筆者もそのひとりである。ただ、彼が不得手とする部分を強要するよりも、天性のフットボールIQを活用する方がアーセナルを上位に導けるのでは、という考え方もあってしかるべきだ。
したがって、エジルは基本的にトップ下。彼の守備力を補うために中盤はトレイラ+1、いや、サイドアタッカーが見当たらないのだから、トレイラ+2も悪くはない。4-3-1-2の可能性が出てきた。