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公立校の市立船橋に胸スポンサー。
部活の概念を高校サッカーが変革! 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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posted2018/09/06 08:00

公立校の市立船橋に胸スポンサー。部活の概念を高校サッカーが変革!<Number Web> photograph by Takahito Ando

「マイナビ」の胸スポンサーが入った市立船橋のユニフォーム。スポンサーは高校サッカーのトレンドとなるか。

市船の胸に「マイナビ」が。

 一方で日本サッカーは前述したように、プロのアカデミー(Jリーグクラブのユースチーム)と学校単位のチーム(高校のサッカー部)が同じステージで戦うという、世界的にも珍しいスポーツの土壌がある。

 これは教育制度の「6・3・3制」と共に、長らく部活動として定着してきたスポーツ教育文化が先にあり、その後にプロチーム育成アカデミーができた、という経緯による。現場的な、もしくは過渡期の解決策として、このような形にせざるを得なかった……という見方もできる。

 日本のサッカー界は両者を区分せず、共存共栄の道を選び、プリンスリーグ、プレミアリーグの設立や、前述した高体連のスポンサー導入などの革新的な手法を取った。そして指導の現場と日本サッカー協会が連絡を取り合い、それぞれの意見と結果をフィードバックしながら柔軟に対応しているのだ。

 そして今回、この流れに新たな一石が投じられた。それは市立船橋高校サッカー部のプレミアリーグ用ユニフォームに胸スポンサーが入ったことだ。

 実は、公立高校のサッカー部でスポンサー入りユニフォームが誕生したのは史上2校目だ。史上初は滋賀県の伊吹高校で、ここは地元の企業がスポンサーとなったのだが、市立船橋は就職情報やニュースなどの配信を手がける情報関連の大手企業「株式会社マイナビ」が入ったのだ。

「部活動の概念は時代錯誤に」

 比較的資金を確保しやすい私立が台頭し、公立校が弱体化している側面がある状況下で、「公立の星」として全国トップレベルの実力を誇る市立船橋が動いたことは、全国の公立校にとって大きな話題となった。

「マイナビさんは船橋に縁があり、Bリーグで船橋に本拠地を置く千葉ジェッツの背中のスポンサーもしている。我々は公立高校でもスポンサー入りユニフォームを実現できないかと考えており、その理念がマイナビさんと合致したんです」

 こう語るのは市立船橋高校サッカー部OB会の副会長である村田貴顕氏だ。朝岡隆蔵監督とともに、船橋市教育長や船橋市長、そして市船の校長に掛け合い、条件面など諸々の事柄をクリアさせて、実現に至った。

「公立校のため予算もあまりなく、基本は遠征のたびに費用を選手の家庭にご負担をしていただいていました。プレミアリーグだけでなく春、夏の遠征やインターハイ、選手権もある。市船は遠征を通じていろんな相手と戦うことで力をつけてきた。しかし、その負担は徐々に大きなものとなっています。

 そして野球や他のスポーツでも“私立の壁”がしっかり存在しており、それはサッカーでも例外ではありません。その中で競争力をつけるためには、こうした取り組みは大事だと考えました。もちろん『サッカーは特別なのか』という声もありますが、これは競技ジャンルに関係なく、まずはその根底にある部活意識を変えないといけない、と思っています。

 これまで数多くのプロを輩出し、公立高唯一のプレミアリーグ参加チームとして、これからもJユースと肩を並べるためには、昔からの部活動の概念だけにとらわれていると時代錯誤になるかもしれない。だからこそ、その意味も込めて、今回の動きになりました」(村田氏)

【次ページ】 経済的に苦しい公立校は多いはず。

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