太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
太田雄貴が見たフェンシング世界大会。
日本勢メダルなしも将来性はある。
posted2018/08/01 07:30
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph by
Kyodo News
7月15日から27日まで、中国の上海近郊にある無錫市で今年のフェンシング世界選手権が行われました。
男女各6種目、25名の日本代表の選手たちは、それぞれに奮闘してくれました。
残念ながら、日本勢はメダルなし。
非常に厳しい結果となりましたが、収穫がなかったわけではありません。
勝負事ですから、勝ち負けは当然ありますし、実力を出せたもの、出し切れなかったもの、それぞれに課題を持ち帰り、克服し、2020年に向けてさらなる飛躍につなげてほしいと思っています。
私も現地に赴き、日本代表選手たちの戦いぶりをしっかり見届けてきました。
と同時に、無錫でのこの大会を眺めながら、ある特別な感慨に包まれていました。
なぜなら私たち日本は、この2018年の世界選手権を、福岡県に招致しようと活動していたからです。
世界選手権の招致を目論んでいた。
2015年、杭州で行なわれたコングレスで無錫との一騎打ちとなって、敗北を喫しました。
2020東京オリンピックの招致をはじめ、選挙やコンペティションにはこれまでだいたい全て勝ってきた自分にとっては、久々の敗戦でした。当時はすごく落ち込んだ記憶があります。
当時、私は日本フェンシング協会の国際アスリート委員長であり、また国際フェンシング連盟(FIE)の選手委員長でした。
プレゼンテーションの中身には、自信がありました。よい大会プランを描けている、と思っていました。
それでも、負けてしまいました。
フェンシングの試合であれば、圧倒的な実力があれば勝ち切れます。
でも、こういった国際的な政治、パワーゲームの場面では、実力以外のさまざまな要素が結果を左右します。
圧倒的な実力があったとしても、あるいは水面下での交渉の場面ですでに負けていた可能性があります。
その意味で、我々は完全に「根回し不足」だったように思います。