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“ハーフ”アスリート増加の一方で。
日本が本当に多様化するためには。
posted2018/08/11 10:30
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Abaca/AFLO
ここ数年、一般的に「ハーフ」と呼ばれるアスリートが日本に増えている。'90年代前後から仕事や留学、旅行などで日本を訪れる外国人、また海外を訪れる日本人が増えたことで、日本以外の国にルーツがある親を持つアスリートが増えたのだろう。
そのほか家族と日本へ移住し、日本国籍を取得し、日本代表として活躍するアスリートもいる。自身もしくは親の出身地ではなく、日本代表としてプレーすることを選ぶのは、我々の想像を超越する覚悟が必要なはずだ。
だが彼らに向けられる視線は様々だ。日本人選手として応援する人も多数存在する一方で、誹謗中傷したり、差別的な発言をする人も少なくない。
(※英語ではハーフではなく、Mixed<ミックスド>という言葉を使うが、本文ではあえてハーフという言葉を使用します)
スポーツ選手に対する差別的発言。
「差別ではないけれど」
SNSなどで差別的な発言をする人の多くが使う枕詞だ。そしてその言葉の後には特定の選手への嫌悪、そしてひいきする選手への応援が続く。
例えば、こんな言葉だ。
「差別するつもりはないけれど、A選手は『ハーフだから』応援したくない。純日本人のB選手を応援する」
かっこ『』内が、「ガイジンだから」、「黒人だから」に変わることもある。
発言者に悪意はなく、人種差別の意識はないかもしれない。B選手のことを応援したい一心から出た言葉かもしれない。だが「ハーフだから」「ガイジンだから」という無神経で暴力的な一言は、言われた当事者や家族はもちろん、日本に住むハーフや帰化した人たち、そして日本に住む外国人の心も傷つける。
発言者にとってはささいな一言で、「差別するつもりはない」と枕詞をつけたからセーフと思っているかもしれないが、正真正銘の人種差別だ。