フランス・フットボール通信BACK NUMBER
開幕2日前に解任も結局1位突破。
スペインにイエロ監督は必要か?
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byFranck Faugere
posted2018/07/01 07:00
セルヒオ・ラモスキャプテンの下、全員が上下の差無くプレーしているのが、今のスペイン代表である。
ラモス「もっと笑おう。笑顔になろう」
チームに活力を与えられるラモスは、積極的にその役割を果たした。ポルトガル戦の前日会見で、彼はジャーナリストたちにこう語っている。
「もっと笑おう。笑顔になろう。まるでお通夜のような雰囲気じゃないか。ワールドカップという大きな舞台をもっと楽しもう」
言葉だけでなくその態度からも、ラモスが状況を客観的に把握しているのは明らかだった。
ロペテギ時代の彼は、ロペテギとピッチの中継者であったと同時に、ロペテギのスピリットをチームに伝える伝道者でもあった。その精神は、ロペテギがビセンテ・デルボスケからチームを引き継いだときから育んできたものだった。
「別に私はスペイン代表独自のプレースタイルを確認したくて試合に臨んでいるわけではない。ただ選手たちの持つ生来のクオリティを大事にしたいだけだ」と、ロペテギは2017年3月の『フランス・フットボール』誌インタビューで述べている。
チーム構成に関しては何も問題がなかった。
ロペテギが大事にしたのは継続性で、決してスペイン代表に革命をもたらしたいわけではなかった。だから解任後もすべては順調かつ円滑に進行した。
チームのアイデンティティは、ロシアに到着したときからハッキリしていた。
ボールを保持してショートパスで繋ぎ、攻守のバランスを求めていくことである。
ただ、多少のニュアンスとして、以前よりも直接的に繋ごうとする意識は高いかも知れない。今のロハのスタイルは、バルサよりもレアルに近いといえる。
チーム構成に関しては、イエロにはフランス代表監督のディディエ・デシャンが抱えるような問題はない。
スタメンの11人は、センターフォワードのジエゴ・コスタがちょっと微妙であったもののずっと以前からその立場は確立していた。イアゴ・アスパスやロドリゴがコスタのポジションに入ることも考えられた。
ポリバレントであることを存分に証明したナチョは、ポルトガル戦での素晴らしいゴールに加え、攻守にわたる能力の高さで右サイドバックのカルバハルにとって代わった。