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開幕2日前に解任も結局1位突破。
スペインにイエロ監督は必要か?
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byFranck Faugere
posted2018/07/01 07:00
セルヒオ・ラモスキャプテンの下、全員が上下の差無くプレーしているのが、今のスペイン代表である。
監督解任のおかげで良くなった選手も。
ポルトガルに2度リードされながら、スペインはいとも簡単に同点に追いついた。
伝統のプレースタイルと4-3-3システムを維持しながら、3人の中盤(イニエスタ、イスコ、ダビド・シルバ)と卓越したリーダーシップを発揮したキャプテン(セルヒオ・ラモス)、チームプレーに程よく順応したセンターフォワード(ジエゴ・コスタ)を擁するチームは、4年前のブラジル大会の悪夢にまったく囚われることなく自分たちのプレーをピッチ上で展開した。
それまではまったくリズムが合わなかったジエゴ・コスタがチームによく溶け込んだのは、大会開始の48時間前に解任されたロペテギのおかげであるともいえる。
過去にも何度かあったW杯直前での騒動。
スペインサッカー協会会長のルイス・ルビアレスは、代表監督契約延長を3週間前に発表したにもかかわらず、レアル・マドリーとの契約にサインしたロペテギの不誠実さを断罪した。
ただ、大きな大会を前に、監督が大会後のチーム離脱を宣言するのはこれが初めてではない。スペインが2度目の優勝を遂げたEURO2008の前には、全国民がルイス・アラゴネス監督の大会後のフェネルバフチェ監督就任を知っていた。
オランダ代表におけるルイス・ファンハールの例もある。
2014年ブラジルワールドカップを前に、彼はマンチェスター・ユナイテッドとの契約にサインしていた。
さらに時間を遡れば、リヌス・ミケルスがオランダ代表監督に招聘されたのは、1974年西ドイツ・ワールドカップが始まる2カ月前のことだった。それでもオランダは、サッカーの歴史に革命を起こしたトータルフットボールの衝撃を全世界に与えながら決勝に進出した。
だが、2カ月と2日は同じではない。
そしてロペテギの代役に突如指名されたフェルナンド・イエロは、ミケルスのような経験豊富な指導者でもなかった。監督としての経歴は2年前のオビエド(リーガ2部)しかないのだった。