サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
“韓国のメッシ”は代表入りしたが……。
日韓の現状が恐ろしく似る背景とは。
posted2018/06/11 17:30
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
Getty Images
危機感が、ぐっと高まっているところか。
ロシアW杯に臨む日本代表のことだ。
大会2カ月前に西野朗監督が就任。本大会までの実戦は3試合のみ。ここまでひとつも勝てていない。おまけに9日のスイス戦の際には監督から「危機ではない」という主旨の発言まで飛び出したという。
いったいどうすべきなのか。日韓のサッカー文化比較をやってきた立場からいうと、「4-4-2採用」というアイデアは提案できる。韓国は昨年11月にこのシステムでコロンビアに勝ち、今年3月にはポーランド相手に後半45分善戦した。これについては、12日のパラグアイ戦を見て状況が依然としてよくなければ、改めて提案をしてみたい。
ここでやってみたいことは、韓国との比較から「日本が今、どういう状況か」を照らし出すことだ。キャンプ地オーストリアからの現場レポートとは少し違う視点を。
恐ろしく似ている、日韓代表チームの現状。
韓国は6月3日に自国を発ち、オーストリア入りした。
5月28日のテストマッチ・ホンジュラス戦は2-0で勝ち、一時雰囲気はよくなった。代表キャップゼロのまま14日発表の28人リストに加わっていたバルサ育ちのイ・スンウ(ベローナ)の代表デビューが勝利に華を添えた。いっぽうで6万人超収容のテグスタジアムが約半数しか埋まらず、“関心不足“が囁かれもしたが。
その後、1日に国内最後の親善試合でボスニア・ヘルツェゴビナ相手に1-3と敗れ、重苦しい空気に戻った。現地入りした後も“仮想メキシコ”のボリビアに0-0のスコアレスドロー。
国内メディアはこんな見出しを打った。
「本大会も目の前なのに……完成度が必要だったボリビア戦、課題だけが満載」(OSEN)。
18日の大会初戦、スウェーデン戦前の最後のテストマッチは11日に行われるセネガル戦だが、これは事前に決まっていたとおり完全非公開。「SPOTV」の記事がポータルサイトで大きく取り上げられた。
「“隠しに隠す” 秘密のベールに包まれたシン・テヨンコリアの“完成形”」
昨年7月に就任したシン・テヨン監督のもと、直前までチーム作りの形を探り、なんとか大会に間に合わせる。そのためのスイッチを探す。選手起用に、システム。何かが化学反応を起こすのではないか。そこに微かな希望の光がある。そういった段階だ。焦りは当然ある。「自分たちと世界の距離が開いてしまった」という悲壮感もある。
似ている。今の日本と韓国の代表は恐ろしいほどに似ている。
そしてちょっと違うところがある。そこにもまた見るべき所がある。