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“韓国のメッシ”は代表入りしたが……。
日韓の現状が恐ろしく似る背景とは。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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posted2018/06/11 17:30

“韓国のメッシ”は代表入りしたが……。日韓の現状が恐ろしく似る背景とは。<Number Web> photograph by Getty Images

ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でのイ・スンウ。バルセロナのユースで育った弱冠20歳のMFは、韓国代表全体の起爆剤となっている。

韓国は新監督就任1年半以内で本大会へ。

 韓国はというと、ほとんどの大会の準備期間で監督交代を経験し、新監督就任1年半以内で本大会を迎えている。'06年大会前に至っては、モルディブと引き分け、ベトナムに敗れるショックも味わった。それでも大会では日本の結果を上回ってきたのだ。

 成績不振により監督交代を繰り返し、揉める。近年は4年間ひとりの監督に指揮を任せたことがない。しかし、最終段階でまとまり、ぐっと成長曲線を大会直前に合わせる。結果、安定してきた日本に“追いつき”、少しよい結果を挙げる。

 '02年大会などは前年12月まで韓国国内でまことしやかに「ヒディンク解任」が論じられていた。準備期間が上手くいっていた共同開催国日本の姿に焦っていたのだ。年が明けても、キューバに0-0で引き分ける失態を演じた。しかし、オランダの名将は不調の時期にも選手の体力データをとりつづけていた。これを大会直前の合宿時に選手に見せ、そこで初めて自信をつけさせた。

「いいか。これがヨーロッパのトップ選手のデータで、これがおまえのものだ。ひとつも負けていないぞ!」というふうに。

 これを筆者は「安定性の日本、突発性の韓国」という定義で描いてきた。

日韓ともにベスト16へ……その中身の違い。

“直前の変化がプラス”という点は、2010年の岡田ジャパン時代の話を引き合いに出すまでもない。

 この時、韓国はアジア最終予選を無敗で通過。パク・チソンが代表での成熟期を迎えていた。しかしいざ蓋を開けてみると、直前で「守備的サッカー」という変化を加えた日本の結果が上回った。同じベスト16ながら、日本はパラグアイにPK負け。韓国はウルグアイに90分負け。W杯ではPK負けは記録上ドローだから、日本のほうが上回った。でなくともグループリーグで日本は2勝、韓国は1勝だった。

 ワールドカップは韓国と戦うものでもなんでもない。それを承知でさらにいうと、本大会で日本が同国の結果を上回ったのはこの1回だけだ。

【次ページ】 韓国は「どう戦うか」を明確にしたが……。

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