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酒井高徳が口にした「最後は結果」。
ブンデス降格を経て得た力強さとは。
posted2018/05/29 07:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Asami Enomoto
「(内田)篤人くんがあれだけの怪我をして、あんなにガチガチにテーピングして、試合出場している。でも、当時の僕だったり、(酒井)宏樹だったりは、その代わりになれる立場ではなかった。日本代表でそれだけの信頼を得られていたのか? というところで、僕らのなかでは、もどかしい気持ちがあった。
あのときからの4年間、『しっかりやっていこう』という時間を過ごしてきた。だから今は、与えられたことは自信を持ってやれる。そういう意気込みを抱いているというのは、4年前、ブラジル大会のときとは変わってきているところだと思います」
両サイドバックで起用が可能という強みを評価され、日本代表では2012年の初出場から38試合と代表キャップ数を重ねてきた酒井高徳。しかし、そのポジションを獲得したという立場にまでは至ってはいない。3月の代表遠征では追加招集という立場。途中出場したマリ戦、先発出場したウクライナ戦でも、悔いが残った。
残留争いに巻き込まれたチームの主将。
「今日の出来じゃ、メンバーに入るのも厳しいかなと思う。すごく強い気持ちで試合に挑もうと思ったけど、残念ながら結果的には、自分の思ったようなアピールできなかったというのがあった。チームに帰って、この合宿で感じた課題をしっかりと意識して、もっとやらなくちゃいけない。それでも僕はできるんだというのをチームで見せるしかない」
3月の試合後にはこう語っていた。しかし、その表情には強さがあった。
ハンブルガーSVに戻った酒井は、1部残留争いをキャプテンとして戦った。指揮官が代わったばかりではあったが、残り試合を4勝3敗1分けと勝ち越した。26節まで4勝しかしていなかったことを思えば、あがきにあがいたものの、ブンデスリーガ史上唯一降格を経験したことのなかったチームの2部降格が決まった。
「選手がいくら頑張っても、軸やベースがないと、うまくいかなくなったときに選手が戻る場所が分からなくなってしまう。思えばそういう状態が長く続いたなかで監督が代わり、チームとして、どうするかという軸がもたらされた。それは監督が代わった代表でも同じだと思います」