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酒井高徳が口にした「最後は結果」。
ブンデス降格を経て得た力強さとは。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAsami Enomoto
posted2018/05/29 07:00
SBが手薄な中、両SBをこなせるのが強み。バックアップの立場から結果を求めて、酒井高徳の奮闘は続く。
W杯メンバーに入る、入らないは考えず。
W杯メンバー選考合宿という現状に対しても、酒井は前向きだった。
「メンバーに入る、入らないということは、正直あまり考えないようにしている。今は、みんなが同じラインに立っている。もちろん序列がありながらも、誰もが名誉挽回できるチャンスがある。そういう中で、みんながギラギラとした感じを示したり、意識を出すというのは、この時期とても重要なことだと思うので。
僕もそのひとりとして、強い意気込みでこの合宿に来ている。メンバーに残りたいという目標はあるけど、今できることを出すということしか考えていない。それができないと、メンバーに残ることもできないと思うから。そこを徹底してやりたい。
どんなふうに過ごそうとも、時は経ち、その時はやってくる。その時間をただ待っているだけじゃなくて、その時やるべきことをやって、いかに有効に使えるかが大事だと考えている」
自分の特徴をチームの力に昇華できるように。
ハンブルガーでの今季最終盤、新監督の元で過ごした時間もまた彼の思考に影響を与えたようだ。
「3月時点では、自分を奮起させられたけど、パフォーマンスには繋がらなかった。その点で僕は未熟だったと思う。チームのサッカーが変わり、試合に継続して起用されて、自分なりにサッカーをする自信が戻ってきた。それが今ポジティブな影響を与えてくれている」
選手はチーム内での自身の立場に敏感だ。それを認識できなければ、競争に勝てないからだ。監督の意向、ライバルの存在、そして、自分の強み。指揮官の方向性を理解したうえで、他の選手との違いを示すことはポジション争いには必要だろう。しかし、誰もが「違い」ばかりを意識していては、チームにはならない。
「チームが戻るべきところというか、方向性がわかった上で、プラスアルファが発揮できる。なにがあっても選手は一致団結して、同じ方向を向いて、与えられたプレーを続けて、率先してやるのがすごく大事。そのうえで、自分の特徴をチームの力にできる選手が揃っていると思う。だからこそ、僕はチームのベースが大事になってくると思う」