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大谷翔平はMLB最先端理論も体得!
フライボール革命とカーブの復権。
posted2018/05/11 07:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Getty Images
「フライボール革命」とは、昨年のヒューストン・アストロズのワールドシリーズ制覇で、日本でも一躍、脚光を浴びた打撃理論である。
メジャーでは「スタットキャスト(高性能レーダーでボールと選手の動きを完全データ化する装置)」の導入で投手の投球内容や打者の打球の詳細な分析が進んでいる。
そこで打者では安打や本塁打が生まれやすい打球の質を解析。その結果、角度26度から30度の間で球速158キロ(98マイル)以上の打球が、最も打率も長打率も高くなるという結論に至った。
そこでこれまでレベルからダウンブローのスイング軌道で「強いライナーを打て」と指導されてきた打撃理論にメスが入る。
むしろアッパー気味のスイングでフライを打つ方が安打の確率が高くなるという新しい打撃理論が生まれたのだ。
これをチームとして取り入れて、見事にはまったのが昨年のアストロズ打線だったわけである。
ではフライボール革命の対抗策は?
アストロズが両リーグトップのチーム打率2割8分2厘、同2位のチーム本塁打238本を叩き出したことでフライボール革命は実証されることとなった。
ただ、である。
いち早く新理論を導入した先進性こそアストロズ躍進の秘密だが、実はこのチームがもっと賢いのは、相手がこのフライボール革命で向かってきたときに、どう防ぐのかを考えていることだった。
その対抗策として、ここ数年のアストロズの投手補強では明確な傾向が見て取れる。