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大谷翔平はMLB最先端理論も体得!
フライボール革命とカーブの復権。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2018/05/11 07:00
5度目の登板となった5月6日のマリナーズ戦。対戦チームによって変幻自在の配球を見せる大谷翔平。
「しっかりカーブを使っていく」
「今日に関してはしっかりカーブを使っていくっていうのを、マウンドに行く前から決めていた。カーブの状態も良かったですし、そのおかげで使えていたかなと思います」
試合後に大谷が振り返ったように、この日は初回に2番のジーン・セグラ内野手の3球目に空振りをとると主にカウント球で使用。ストライクゾーンにいった4球の内訳は1回のロビンソン・カノー内野手の右飛と6回のセグラの中飛で空振りも2つとっている。
マリナーズの各打席を見ていると、あまりデータにないうえに真っ直ぐとの球速差が40キロ近くある球種だけに、投げた瞬間に手が出なかったようにもみえた。
少ないリスクで投球の幅が広げられるはず。
カーブは最も威力があり効果的な球種だが、最も操るのが難しい球種でもあると言われる。
実際に6回にネルソン・クルーズに与えた死球はカーブが抜けたもの。その後、大谷はカーブを1球も投げておらず、7回にリオン・ヒーリー内野手に2ランを浴びて直後に四球を出したことでマウンドを降りている。
真っ直ぐとスプリットを当然のようにマークされる中で、カーブをいかに使えるか――。
カーブは自在に操れれば安全にカウントを稼ぐのには非常に有効な球種であり、時には決め球としても使えるはずなのだ。フライボール革命が進むメジャーリーグの中では、リスクを少なく投球の幅を広げていくためにはかなり効果的な球種となるわけだ。
しかもスライダーやスプリットに比べると肘への負担も少なく、腕をきっちり振らないと投げられない球だけに、カーブをきちっと投げることがストレートの走りを良くするとも言われる。そう考えると大谷がこれから長丁場のシーズンを乗り切り、息の長い選手として活躍していくためには、カーブは必須の球種となるはずなのである。