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大谷翔平はMLB最先端理論も体得!
フライボール革命とカーブの復権。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2018/05/11 07:00
5度目の登板となった5月6日のマリナーズ戦。対戦チームによって変幻自在の配球を見せる大谷翔平。
アストロズの投手陣には、ある共通の特長が!
主だった補強投手をあげると、2016年オフにフィラデルフィア・フィリーズでその年わずか1勝だったチャーリー・モートンと契約すると、昨シーズン途中にはトレードでジャスティン・バーランダー、このオフにはゲリット・コールを獲得した。
実はこれらの投手に共通した特長が、カーブを武器にしていることなのである。
もちろんバーランダーやコールはカーブだけではなく超一級品のフォーシームやスライダーも持っている。ただカーブを自在に操れることが、投球の組み立ての中で重要な役割を果たしている。
またこれらの投手と共にローテーションを支えている4年目の生え抜き右腕、ランス・マッカラーズもナックルカーブを最大の武器とする投手で、今季はすでにチームの勝ち頭となる5勝をマーク。アストロズの先発陣にはカーブの使い手が4人もいる。
これが……フライボール革命に対する対抗策なのである。
トップクラスの投手達はカーブの使い手。
アッパースイングの軌道に対して横の変化は、「線」の対応となるが、大きな縦の変化を使うと「点」となる。もちろんスプリットや縦のスライダーも有効な球種なのだが、縦の変化率が最も大きいカーブを自在に扱えれば、よりアッパースイングには有効ということだ。
これがアストロズのカーブ理論である。
実際に現在、メジャーで活躍する投手をみてもクレイトン・カーショー(ドジャース)やコーリー・クルーバー(インディアンス)の新旧サイヤング投手に売り出し中のアーロン・ノラ(フィリーズ)らはいずれもカーブの使い手なのだ。まさにメジャーはこの最古の変化球、カーブが再び脚光を浴びる時代に突入しているわけだ。
そこでロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手である。