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西野ジャパンに永井謙佑はどうだ。
FW起用で「スピード違反」が復活!
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/24 08:00
名古屋時代に西野朗監督のもとでプレーした永井謙佑。秘蔵っ子としてのサプライズ選出があっても不思議ではない。
ケネディや川又、戦術との相性。
FWに入る永井は、近くでプレーする相方と絶妙の関係性を作れる。プロ入り当初は、同い年の金崎夢生と息の合った連係が光り、長身FWのケネディとも特長を補完する関係性で活躍した。さらにケネディ退団後にレギュラーとなった川又堅碁とも、距離感の良いプレーでゴールに向かっていった。
西野監督は、ちょうど永井がケネディや川又とプレーした時期を指揮していた。それは、指揮官もG大阪時代に色濃く染み付いたパスサッカーで相手を押し込んでいく戦い方ではなく、高い位置からのプレッシングと縦に速いショートカウンターの戦術を採用していた頃でもあった。
永井を生かすためには最良の手段。また、高さや強さを生かした攻撃の基準点になれる存在と、彼を組ませた西野監督の前線起用が当たったのである。
西野サッカー=パスではない。
そして今、西野監督の代表指揮官就任と、永井の好調ぶりが、奇しくも重なっている。
ロシアW杯まで2カ月を切っている状況で、西野監督が具体的にどんな戦い方を採るのかは、見えてきていない。先日の会見では、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が求めたフィジカルサッカーよりも、組織や連係を生かしたスタイルを取り戻したい狙いが語られるにとどまった。
それに加えて西野サッカー=G大阪時代のパスサッカーというイメージが強いが、1996年のアトランタ五輪代表や2000年前後の柏時代、さらにはG大阪時代の初期など、手堅い守備をベースにした戦いも選択。持てる戦力から逆算した戦いを選択してきた過去がある。
さらに、今回は本番まで残された時間が極端に少ない。できることは限られている現状を見れば、そこに永井が組み込まれる可能性は、十分にある。
日本が世界大会で戦うには必須要素とも言える組織的な守備。それを実践する上で、永井のディフェンス貢献度は計り知れない。さらに西野監督が率いてきたチームにおいて、彼が主に2トップを多用してきたという事実も見逃せない。