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西野ジャパンに永井謙佑はどうだ。
FW起用で「スピード違反」が復活!
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/24 08:00
名古屋時代に西野朗監督のもとでプレーした永井謙佑。秘蔵っ子としてのサプライズ選出があっても不思議ではない。
FC東京2年目、好調をキープ。
FC東京に移籍して2年目の2018年シーズン。今季、永井が好調だ。
4月23日現在でゴールこそ2得点だが、決定機を演出する陰のプレーで貢献。特に2トップの一角に入り、相棒のディエゴ・オリヴェイラと織りなすコンビは、攻守で相手に脅威を与えている。献身的かつ圧力を感じるプレッシングで守備のスイッチを入れ、マイボールになればスペースを突く動き出しや、味方を生かすおとりの動きでマークを引きつける。チーム全体に与える影響は計り知れない。
そして4月21日に行われた清水とのアウェー戦。FC東京が1-0で勝利し2位に浮上した試合で、決勝点を挙げたのは永井だった。
「あのゴール、久々の形でしたよ。あんなゴールが自分にとっては理想だし、増やしていきたいですね」
中盤で東慶悟、大森晃太郎とパスが渡ると、前線に長目のスルーパスが入れられる。少しパスが長く、強い印象だったが、そこに追いつけるのが永井。DFを振り切り、飛び出てきたGKの鼻先でボールに追いつき、左足シュート。ゴールに流し込んだ。
ロンドン五輪でスペインを撃破した快足。
届くか届かないか。それぐらいのパスに反応し、相手よりも先に触れて勝負を決する。これが、永井の一撃必殺のシュートである。
思えば、ロンドン五輪でも日本のベスト4進出に貢献した時のゴールは、まさにこの形だった。
大舞台で見せた2ゴールは、いずれも清武弘嗣のラストパスに反応し、飛び出してきたGKよりも先にボールに触れてゴールネットを揺らした。身体能力の高いアフリカ人DF相手にも、永井のスピードと裏への抜け出しは完全に通用していたどころか、群を抜いていた。
初戦のスペイン戦でも、その速さで圧倒。果敢なチェイシングでDFからボールを奪い、そのまま突破を仕掛ける。、必死にマークした相手マーカーも結局永井に前に入られ、ファウルを犯して一発退場。このワンプレーが、日本の勝利をぐっと手繰り寄せたのだった。
スペイン戦を当時テレビ解説していたのが、今季からFC東京を率いる長谷川健太監督だった。永井についてこう語る。
「謙佑はスピードが衰えることもなく、いまでも攻守でチームに流れを与えられる選手。あのスピードは、どんな相手だって嫌なはず」