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西野ジャパンに永井謙佑はどうだ。
FW起用で「スピード違反」が復活!
posted2018/04/24 08:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
J.LEAGUE
先日、FC東京の永井謙佑が、J1通算200試合出場を達成した。試合前に妻と2人の子どもから花束を渡され、クシャクシャの笑顔で写真に収まった。
ちょうど22歳の誕生日で迎えたプロデビュー戦が、昨日のことのように思い出される。初陣のインパクトの強さはものすごかった。
2011年J1開幕戦。福岡大から名古屋に加入した永井は、豊田スタジアムで行われた横浜F・マリノス戦で、後半途中から初めてプロのピッチに立った。
前年の2010年南アフリカW杯には、日本代表のサポートメンバーとして大会にフル帯同した。複数のJクラブが獲得に名乗りを上げた中、ピクシーことドラガン・ストイコビッチ監督(当時)から直接口説かれた経緯もあり、名古屋入りを決めた。
デビュー戦で中澤&栗原をぶっちぎり。
注目は、50mを5秒8で走る快足。すると、ピッチはすぐに永井劇場と化した。前年のW杯で岡田ジャパンの守備陣を統率した中澤佑二、そして当時のザックジャパンに選出されていた栗原勇蔵の両センターバック相手に、永井はスピード勝負を挑んだ。
玉田圭司のスルーパスから裏のスペースに抜け出すと、右足シュート。いきなりDFに脅威を与えた。続いてゴール前で鋭くクロスバー直撃の左足ボレー。さらには眼前の中澤をあっという間にぶっちぎり、ペナルティーエリア内に侵入した。
このルーキーが、何かを起こすかもしれない。スタジアムはそんな空気で充満した。そして後半ロスタイム、それが現実となる。
中澤からボールを奪った永井は、並走する栗原を一瞬の加速で抜き去る。たまらず栗原が後方から永井の腕を掴んだところで、勝負あり。ペナルティーエリア内で永井は転倒し、堂々PKを獲得した。
ジョシュア・ケネディがこれを決めて、試合はタイムアップ。呆然とする横浜FMの選手たち。J屈指の堅陣を、永井1人で突き破った。
衝撃デビューを端的な言葉で表したのは、当時横浜FMの監督だった木村和司氏の一言だった。
「あれは……スピード違反にならんかな? まあ、大したもんだ、あのスピードは」
爆発的なプレーが、永井の代名詞。あれ以来、サッカーファンに強烈に植え付けられたものである。