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オリンピック×算数ドリルって?
元川崎・天野さんの仕掛けの先に。 

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手嶋真彦

手嶋真彦Masahiko Tejima

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photograph byMasahiko Tejima

posted2018/04/17 07:30

オリンピック×算数ドリルって?元川崎・天野さんの仕掛けの先に。<Number Web> photograph by Masahiko Tejima

天野春果さんらが尽力して開催された今回のイベント。東京五輪に向けて子供たちに訴えかけるものは大きい。

ルールや楽しさを子供たちに知ってほしい。

 金メダリストのオリンピアンとしてよく知られる高橋さんは、2015年10月から東京2020組織委員会の「アスリート委員会」で委員長を務めている。競技者たちの意見を大会運営に反映させていくアスリート委員会がこれまで模索してきたのは、オリンピック・パラリンピック各競技についての魅力を発信する機会をどう増やしていくか。

「ルールや楽しさを含めて、子供たちにもっと知ってほしい。身近に感じてほしい」という願いは、とりわけマイナー競技のアスリートに強くあると言う。

 スポーツ庁の鈴木長官は、また別の角度から実践学習会の意義を感じていたようだ。この日、6年生の児童全員が50m走の記録を取ったのは、算数の実践学習に役立てるためだった。1秒間に進める距離を、実際に走って計算する。鈴木長官も児童に混じって50m走に参加した。

鈴木長官は「本当に勉強になった」。

 帰宅した子供の話を聞いて、びっくりした親もいたかもしれない。1988年ソウル五輪・競泳背泳ぎ100m金メダリストのあの鈴木大地と一緒に走り、おそらく本気を出していた鈴木さんよりも先にゴールラインを通過して、そのスポーツ庁長官から「おめでとう」と声を掛けられた6年生もいたからだ。

 鈴木長官は最後にこう締めくくった。

「(児童の)皆さんがオリンピック選手、パラリンピック選手になるということではなく、身体を動かして、それが楽しいと感じてもらえる授業を、もっとしていかなければならないと思いました。今日は本当に勉強になりました」

 仕掛け人の天野さんが東京2020組織委員会への出向を自ら志願したのは、東京オリンピック・パラリンピックの大きなポテンシャルを信じているからだ。「スポーツの価値そのものを高める」絶好のチャンスだと。

【次ページ】 “刺さる”だけでなく“響き渡る”ものを。

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