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オリンピック×算数ドリルって?
元川崎・天野さんの仕掛けの先に。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byMasahiko Tejima
posted2018/04/17 07:30
天野春果さんらが尽力して開催された今回のイベント。東京五輪に向けて子供たちに訴えかけるものは大きい。
オリンピアンに質問できる時間も。
体操着に着替えて校庭に出る前は、教室でオリンピアンたちと触れ合った。算数ドリルを一人ひとり手渡され、担任の先生と一緒に問題を解いてみる。せっかくの機会だからと脱線して、オリンピアンたちが持参していたメダルに触る時間もできた。児童たちは順番に手に取り、首からぶら下げてみる生徒もいた。それまでの緊張が少しほどけ、会話も生まれた。聞こえてきたのは、こんなやり取りだ。
児童「齧(かじ)ってみてもいいですか?」
オリンピアン「おいしくはないと思うよ(笑)」
教室で過ごした最後には、オリンピアンに質問できる時間もできた。ある児童は、こう聞いた。
「夢は何でしたか?」
オリンピアンたちが子供の頃の夢を語り、教室全体で耳を傾ける。そこで新たな夢が生まれたかもしれない。あるいは、いずれ生まれる夢のきっかけになったかもしれない。
校庭での驚きの走りと教室での夢の話。それだけで十分意義があるのではないか。子供たちがオリンピアンと触れ合う掛け替えのない経験に、無限の可能性が感じられたのだ。
天野春果さんが取り組む五輪算数ドリル。
企画の仕掛け人は天野春果さん。この名前にピンときたなら、Jリーグに詳しいか、川崎フロンターレの熱心なファンに違いない。フロンターレ時代の天野さんは、国際宇宙ステーションとフロンターレのホームスタジアムを衛星回線で結んだ宇宙飛行士とのリアルタイム交信や、岡本太郎という没後も輝き続ける芸術家の作品をキャッチフレーズに取り込むコラボレーションなど、型破りなプロモーション企画の数々を実現させてきた。
算数ドリルもフロンターレで手掛けた企画のひとつだ。今回は東京都内の有志の教員たちと「東京2020算数ドリル作成委員会」を作り、オリンピアン・パラリンピアンたちの監修を得ながら「楽しく解けるように工夫して」(天野さん)、まずは上巻の「オリンピック版」を完成させた。
東京オリンピックで実施される33競技を、新たに追加されたスケートボードやスポーツクライミングまで漏れなく取り上げ、算数ドリルの問題とした。文部科学省の学習指導要領に準拠する副教材としたのは、「配って終わりにならないように」(天野さん)。週2~3回授業で使用できるように、算数教科書とリンクさせている。
下巻の「パラリンピック版」は9月末までに作成・配布し、パラリンピアンが授業に参加する実践学習会も今秋開催する予定。今年度は渋谷区内のすべての公立小学校(18校)で展開し、来年度は他の自治体にも広げていきたい考えだ。