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甲子園優勝の意味を知り尽くす2校。
大阪桐蔭と東海大相模の特別さ。
posted2018/04/02 12:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Kyodo News
準々決勝で花巻東に19-0と大勝した大阪桐蔭だが、有友茂史部長は、かつてこう話していたことがある。
「実は、打撃のチームをつくろうと思ったことは一度もないんです。ただ、大阪で勝ち抜くには打てないとダメ。それを嫌というほど味わっているので、自然とこういうチームカラーになったんです」
今、全国の高校生から目標とされる大阪桐蔭のスタイルは、大阪という「土壌」によって自然と育まれたというのだ。
前年夏の選手権大会における各都道府県の出場チーム数ランキングは、1位が神奈川の189チーム(190校)で以下、2位が愛知の188チーム(189校)、3位が大阪の176チーム(184校)と続く。さらに言えば大阪は、昨年までの春夏通算の甲子園勝率ランキングでは全国トップである。
つまり、総合的に見て日本一の「激戦区」だと言っていい。その厳しい環境が大阪桐蔭という限りなく完璧に近いチームをつくり上げたのだ。
東海大相模は、負ける要素の排除が先。
総合力という意味で、大阪桐蔭に次ぐのが、やはり四強入りした東海大相模だろう。東海大相模も初戦で聖光学院に12-3で大勝するなど強打のイメージが強いが、3回戦で敗れた静岡の栗林俊輔監督は、東海大相模の印象をこう話す。
「守備も、走塁も、鍛えた上での打撃ですね。まずは負ける要素はすべて排除してから、そこから攻撃力を鍛えているというイメージです。同じく神奈川の桐光学園とも対戦したことがあるのですが、あそこも打撃はいいですけど、もう少し何とかなりそうな雰囲気がありましたから」
東海大相模を率いる門馬敬冶監督も、こう言う。
「守備も走塁も含め全部がないと勝てませんから。言うなら、打つことも、という表現になると思います」