ひとりFBI ~Football Bureau of Investigation~BACK NUMBER
次期日本代表監督はロドリゲスに。
と、思わせる徳島“渦潮”サッカー。
posted2018/03/24 17:00
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
まるで鳴門の渦潮である。
J1昇格を狙う徳島ヴォルティス(J2)のフットボールのことだ。開幕から2連敗とつまずいたが、第3節から3連勝。しかも、大宮、千葉、甲府という昇格争いのライバルたちを次々と仕留めている。
いや、だから凄い――という話ではない。圧巻は結果以上に「中身」のほうだ。まるで人とボールが巨大な渦を巻くように、相手を呑み込んでいく。ハイテンポな攻守に引きずり込まれた相手はもう、なす術がない。
第5節を終えた時点における1試合平均のポゼッション率は62.4%。2位の岐阜が55%に届いていないから、断トツの数字と言っていい。相手を一方的に押し込んで、ゲームを進めることもめずらしくない。
とくに第3節大宮戦の前半は凄かった。時間帯別(15分ごと)のポゼッション率は68.4%、60%、63.7%。敵陣でほぼ「攻めっぱなし」の状態である。相手に何もさせなかったに等しいような内容だった。ツボにはまったときの破壊力は凄まじいばかりである。
背水の陣を決め込んだかのような全開ぶり。
スペイン人のリカルド・ロドリゲスが監督に就任して2年目。昨シーズンの得点源だった渡大生とサイドバックの馬渡和彰を失ったものの、爽快なスタイルは健在だ。
ボールを持っても持たれても、前へ前へと突き進む。まるで「背水の陣」を決め込んでいるかのようだ。スイッチが入ったら、どうにも止まらない、といった感じである。
休まない、休ませない。
そんなエネルギッシュなスタイルだ。とにかく、攻守の切れ目がない。キックオフからフルスロットル(アクセル全開)で駆け抜けていく。ダイナミックなポゼッションと鋭いカウンタープレスの連続なのだ。
攻撃サッカーの看板を掲げるJクラブのなかには、ボールの保持には熱心でも、ボールの最速奪取には関心が薄いチームが少なくない。人数をかけてブロックをつくり、ひたすら獲物(ボール)がワナにかかるのを待つ。いわゆる「ミス待ちディフェンス」だ。
相手は相手で、無闇にブロックの中へ突っ込んでいったりはしない。やることは「なんとなくポゼッション」である。こうして相手側のボールを保持する時間が増えていく。