【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
明大学長特任補佐に就任して約1年。
楽観視できない大学スポーツの現状。
posted2018/02/05 11:20
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Kiichi Matsumoto
みなさん、大学のスポーツ選手にはどのような印象を持っていますか。
私の知人に、アメリカの名門UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のアメリカンフットボール部に所属する男性がいます。彼は、将来NFL入りを目指せるほど高いレベルで競技をしながら、授業とは別に毎日かなりの時間勉強をしています。
話を聞いてみると、アメフト上達のために食事を考えるようになり、それが環境への関心につながり、環境学に興味を覚えたそうです。その勉強が高じて、次はNASAの取り組みや就職にまで興味を持つに至ったといいます。
アメリカでは、大学のスポーツ選手のことを“Student Athlete”と呼びます。
基本はあくまでも学問を重んずるStudent。その両立への努力を社会が認めていることも、現地の大学アメフトや大学バスケットボールが社会や地域で絶大な人気を誇る根底にあります。
日本も同様かといえば、残念ながらそう言えません。
「部」という枠に収まり、スポーツさえできれば許される風土が根付いている。注目される競技や試合もごく限られたものです。
日本の大学スポーツには……楽観視できない現状がある。
昨年のラグビー早慶戦や、六大学野球などを観戦して、日本における大学スポーツへの関心の低さを実感しました。スタンドにいるのは50代以上の方ばかり。それ以下の年代は少なく、そもそも学生があまり応援に来ていません。
日本の大学スポーツには、楽観視できない現状があるのです。
私は今年より、鈴木大地長官に声をかけていただき、スポーツ庁の参与になりました。スポーツ庁は、アメリカの大学スポーツを管理している「NCAA(全米大学体育協会)」の日本版組織を確立できるように動いています。
また、私は昨年から明治大学の学長特任補佐として、大学スポーツ振興に携わるようになっていました。
これらの縁から、先日、明治大学のマスコミ交流会で鈴木大地長官の講演と、明大・土屋恵一郎学長&スポーツ庁・仙台光仁参事官&私のシンポジウムが開催されました。そこで改めて思ったことがあります。