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明大学長特任補佐に就任して約1年。
楽観視できない大学スポーツの現状。 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2018/02/05 11:20

明大学長特任補佐に就任して約1年。楽観視できない大学スポーツの現状。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

2017年4月3日に行われた就任会見。右は明治大学学長・土屋恵一郎氏。

米国では大学スポーツを経営のプロが運営している。

 鈴木長官は、「大学スポーツの世界に、経営のプロがいなかった。アメリカでは教授ではなく、プロが大学スポーツの経営をやっている」ということを、その日の講演でも言っていました。私に参与を打診してくださった理由の1つも、その危機感の表れだと思います。

 10カ月ほど大学に特任補佐という肩書で関わって、私も危惧を抱いています。

 私も、NCAAのような組織は日本に絶対に必要だと考えます。NCAAとは、アメリカの大学スポーツを統括する組織であり、学生の練習時間、学業成績、試合の放映権料、指導者の質などに厳しい基準を設けています。

 さらに各大学には「アスレチック・デパートメント」という部署が設置され、大学のブランド力向上、地域との関係性の確保、選手の安全管理や会計管理を行っています。

 日本は「部」の自主性を重んじているため、真逆の形態とも言えるでしょう。

大学スポーツの現状の仕組みを本質的に改革したい!

 この10カ月の間で、明大にNCAAやアスレチック・デパートメントの仕組みを導入できないかと考え、勉強や取材を行い、設計図と組織図を作って大学に提出しました。シンポジウムなどでもその内容を発表してきました。

 しかし、組織が設計図通りの変換を遂げられるかは私には分かりません。

 大学スポーツの現状の仕組みからの本質的な変化が求められるため、トップ人材の決断が大切なのです。

 ここが特任補佐の限界で、私は発言しかできません。実践に移すのは、大学教授の方々です。

 私の提案に対して、土屋学長が「外部からの意見が大切」とおっしゃられました。

 正直に申し上げますと、「外部」と毎回呼ばれるのはとても悲しいことでもあります。

【次ページ】 大学スポーツ改革を、最初にどの学校が始めるのか……。

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