“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校サッカー選手権徹底プレビュー。
下馬評は4強だが……伏兵アリ!
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/12/27 17:30
柏レイソルから青森山田へと移籍した中村。中途入学ながら、今ではチームの中心選手として存在感を示すようになった。
インハイ王者の流通経済大柏は2冠も十分狙える。
今夏にインターハイ王者となった流通経済大柏は、3年生が激しいレギュラー争いを展開しており、それが安定感を生む好循環となっている。
ことにGK薄井覇斗の安定感は抜群で、この1年間で、どんな試合の流れでも動じないメンタリティーを身につけた。攻撃センスが高い宮本優太と堅実な守備が売りの宮本泰晟のダブルボランチは連係も秀逸で、インターハイでは不動のコンビで優勝に貢献した。さらにMF金澤哲流らが台頭し、右MFの10番・菊地泰智がボランチ起用されるなど、チームとしてバリエーションが確実に増えてきた。
両ワイドも菊地をはじめ、突破力と得点力を兼ね揃えたMF鬼京大翔、インターハイのときはサイドバックだった三本木達哉、変化にとんだドリブルを見せる時岡寛拓(のぶひろ)、石川貴登ら3年生が軒並み成長。チーム全体がどのような陣容でも戦えるレベルに至った。
ここに来年のプロ争奪戦必至のCB関川郁万とFW熊澤和希の2年生コンビが加わることで、チームのレベルがワンランク上がる。2冠も十分に狙える存在だ。
多様なFWを5人も抱える前橋育英の戦術的柔軟性。
チーム内競争では、昨年度の準優勝校・前橋育英もひけを取らない。
昨年のメンバーが7人も残り、レギュラーの顔ぶれは固定されているように見えるが、水面下では激しいレギュラー争いが繰り広げられている。これを実現しているのが、実力ある2年生の台頭である。
DFラインはガンバ大阪入団が内定しているCB松田陸と、アルビレックス新潟入団が内定している左サイドバックの渡邊泰基など、昨年の4枚がそのまま残っている。しかし2トップは、昨年メンバーのFW飯島陸だけでなく、得点力のあるFW高橋尚紀と、スピードのあるFW室井彗佑の2人の2年生がライバルとして存在する。しかも185cmの3年生FW宮崎鴻と、186cmの2年生FW榎本樹という長身タイプも控えている。
この陣容であれば、相手のサッカースタイルや戦術、戦況などを見極めながら、5人の組み合わせで2トップを自在に変化させて戦える。つまり戦術的な柔軟性を持つことにつながっている。相手からすれば、最終ラインが強固で、なおかつ攻撃陣でも“狙いどころ”を絞り辛いのは、相当厄介だろう。