“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-17フランスと日本にあった差は。
個人能力以上に、適応力なのだ。
posted2017/10/14 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
U-17世代でも、フランスは強かった。
初戦のホンジュラス戦に6-1の好発進を飾ったU-17日本代表。2戦目の相手は、同じく初戦のニューカレドニア戦を7-1と大勝したフランス。つまりグループステージ最大の難敵だった。難敵である理由は、ただ個の能力が高い選手が揃っているだけではない。チームとして戦う術を持っていたからだ。
フランスが日本対策として練ったのは、FW久保建英とボランチ平川怜の遮断だった。
日本の長所は組織的な攻撃と守備。ボールポゼッションで優位を取り、パスで揺さぶりながら、生まれた隙を突いて最終ラインを突破していくスタイルだ。
この長所をフランスは熟知しているように見えた。久保と平川を徹底して潰しながら、日本が作ろうとするスペースを徹底して埋める。ボールを奪ったら、ゾーンで守る日本の守備組織をサイドチェンジと1対1で揺さぶり、選手間の距離感を保ったポジショニングを引きはがす。そして前への推進力と個の打開力をフルに発揮する展開に持ち込んでいく。これがフランスのプランだっただろう。
久保と平川を潰し、ショートカウンターで仕留める。
フランスのCBとMFは、平川のポジショニングを常に捉え、ボールが入るとコースを限定。さらに中盤でボールを引き出してからドリブルで仕掛けたり、周りを使ってゴール前に出ていく久保に対しても、足元に入った瞬間寄せるのと、飛び込まずに裏を警戒する判断が鋭かった。
13分の失点も日本のダブルボランチが食いついたところを、フランスの2シャドーの鋭い出足と球際の寄せで奪われるや否や、DFラインとの間の広大なスペースをフリーで運ばれる。これにより日本のDFラインは、ボール保持者のMFマクサンス・カクレと左サイド裏を狙うFWアミーヌ・グイリの両者を見なければならなくなった。
下がりながら両方を警戒するあまり、CB2枚とサイドバックが横一線となった瞬間、カクレからの浮き球のラストパスに対してグイリが完全に抜け出され、先制点を許した。ポゼッション時のミスを狙い、ピッチの横幅をフル活用した素早いカウンターで仕留める。
フランスの狙い通りの形だった。