オリンピックへの道BACK NUMBER
同じ曲がノーリスクとは限らない?
フィギュア新シーズン前の動向は。
posted2017/07/20 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
春以降、アイスショーが続々と行なわれている。その中にあって、少しずつ、選手たちの新しいシーズンへの動向が見えてきた。新たに使用するプログラムを披露する選手がいれば、まだ披露せずとも、ショーの前後で使用する曲を発表する選手もいた。
他のスケーターが使用した、記憶に残る曲を使用する選手がいる。自身で使用した曲を再び使用する選手もいる。あるいは昨シーズンまでと異なるテイストの曲を選んだ選手もいるのだ。
宇野と本田が選んだのは、荒川静香も使用したあの曲。
最初のパターンで代表的なのは、宇野昌磨と本田真凜である。2人はフリーの曲として『トゥーランドット』を選んだ。これはトリノ五輪で荒川静香が金メダルを獲得した際のフリーの曲である。年齢のため平昌五輪の出場資格を持たない紀平梨花のフリー『道』は、バンクーバー五輪で高橋大輔が銅メダルを獲得したときのフリーの曲だ。
また、宇野のトゥーランドットは2シーズン前に自身が使用した曲でもある。羽生結弦も2014-2015、2015-2016シーズンに使用したショパンの『バラード第1番』を使用する。
一方で田中刑事はフリーで『フェデリコ・フェリーニ・メドレー』を昨シーズンから継続する。また三原舞依のショートプログラム『リベルタンゴ』は、昨シーズンから一新すると言ってよい曲だ。選手それぞれに異なる方向性を打ち出しているわけだ。
一見すると、初めて使用する曲の方がリスクは大きく、再使用する曲はリスクが小さいように思えるかもしれない。だが、一概にそうは言えない。国際審判員としてオリンピックにも参加した経験を持つ杉田秀男氏は、以前の取材でこう語っている。
「同じ曲を使用することには、選手が慣れているというメリットがありますが、逆に内容が上がっていると感じさせなければ、決してメリットにはなりません」