オリンピックへの道BACK NUMBER
同じ曲がノーリスクとは限らない?
フィギュア新シーズン前の動向は。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2017/07/20 08:00
プリンスアイスワールドで熱演を見せた本田。プレシーズンとはいえ、1つひとつの滑りが冬の本番へとつながる。
慣れている曲も改めて滑る難しさと楽しさがあるが。
選手が慣れているのと同様、観ている方もまた、初めての曲とは違い、その演技を見慣れている。しかも、宇野のトゥーランドットは、シニア1シーズン目、2015年のグランプリファイナルのときにスタンディングオベーションで称えられたように、評価が高いプログラムだった。
羽生結弦のバラード第1番もまた、名プログラムに数えられるだろう。2015-2016シーズンには、NHK杯で世界歴代最高得点をマークし、その直後のグランプリファイナルで更新。得点110.95は今なお、最高得点を保持している。なおさら、簡単とは言いがたい曲である。
それでも、宇野はこうコメントしている。
「改めて滑る難しさと楽しさがあると思いますが、以前に比べて成長できたところをお見せできたら」
「勝負の年だし、4年間でいちばんいい作品をやるべき」
新シーズンのショートプログラム使用曲を発表しお披露目の舞台となった「ファンタジー・オン・アイス」で、羽生の所属するANAで監督を務める城田憲子氏はこう語っている。
「勝負の年だし、4年間でいちばんいい作品をやるべき」
当然、そこには羽生の意見も汲まれているはずだ。
杉田氏は、先の言葉に続けて、このように語っていた。
「言い換えれば、よくなっていると思わせれば、評価もぐんと上がります」
宇野、羽生ともに、ジャンプ構成は変わってくるのは間違いない。その上で、振り付けなど手を入れて、挑むはずだ。「自分を越えられる」と考え、信じて選択し、チャレンジしていくシーズンとなる。
チャレンジは、2人だけのことではない。
どうすれば演技を高められるか、魅力をより引き出せるか、それぞれに考えて方向性を打ち出して曲を選び、プログラム作りに取り組んでいる。