日々是バスケBACK NUMBER

バスケ日本男子、歴代最高の成績。
U-19W杯で世界を驚かせた戦法とは。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byFIBA

posted2017/07/12 17:00

バスケ日本男子、歴代最高の成績。U-19W杯で世界を驚かせた戦法とは。<Number Web> photograph by FIBA

'99年以来18年ぶりの出場となったU19日本代表。エース・八村は1試合平均20.6得点で得点ランキング2位に入った。

残り16秒から5点差を追いつく奇跡を見せた。

 底力があるイタリアは後半が始まってすぐに追い上げ逆転したが、逆転されただけでは大きく崩れないのが、今回の日本チームの強さでもあった。4Qに入ってからも2点差、同点を繰り返す攻防が続いた。

 4Q残り27.2秒の時点で3点ビハインドだった。タイムアウト後の日本は三上侑希が密集した中で3Pを狙うが失敗。逆にイタリアにフリースローを2本決められ、残り16秒で点差は5点に広がった。万事休すと思いきや、そこから八村の勝負強さが発揮された。イタリアのフリースロー1本を挟み、わずか8秒の間に連続2本の3Pを沈め、55-55の同点に追いついたのだ。

 しかし、残念ながら奇跡は起こらなかった。その直後にイタリアのオクシリアに難しいジャンプシュートを決められ、2点及ばずに世界ベスト8を逃した。

 試合後、ロイブル・コーチは言った。

「ヒーローと敗者は本当にわずかの差。ただ、きょうの私たちが敗者だったとは思わない。選手たちはうなだれず、堂々とコートを去っていいと思う。ミラクルには2点だけ足りなかった」

準優勝したイタリアに一歩も引かなかった事実。

 確かに試合に勝てなかったのだから、ミラクルが起こったとは言えないのかもしれない。しかし、この後、イタリアは決勝戦に進み、準優勝しており、そのイタリア相手に一歩も引かず2点差の接戦を戦ったということは、これまでの日本代表では考えられなかったことだ。初戦で終盤まで競ったスペインも大会4位。カナダ(大会優勝)との試合は点差がついてしまったが、ベスト4入りしたチーム相手に互角に戦ったことは、十分に世界を驚かせたと言ってもいいのではないだろうか。

 イタリア戦後、八村も誇らしげに言った。

「負けた試合なんですけれど、どんどん世界のレベルに近づいてきているんじゃないかなと思います」

【次ページ】 サイズや運動能力不足を乗り越える方法が見つかった。

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
八村塁
アイザイア・マーフィー

バスケットボールの前後の記事

ページトップ