炎の一筆入魂BACK NUMBER
「3番として100点満点」の丸佳浩。
出塁率リーグトップに至るまでの道。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/06/16 07:00
好不調の波が少ない丸。今年はその安定感に、さらに勝負強さも加わって新境地を開きつつある。
「崩した」のではなく「崩されていた」!?
昨季までは漠然としていたところもあったが、今季は違う。
「(打てないときの原因が)フォームの部分にあるのか、それとも自分の考えからそうなっているのかは違う。そこを毎試合コーチと一緒に確認しながらやっている」
原因を明確化できていることが安定感につながっている。
特に左投手を苦にしなくなった。レギュラーに定着した'13年から、昨季まで左投手の打率が右投手と比べ、悪かった。
'13年 左.242 右.287
'14年 左.272 右.331
'15年 左.239 右.255
'16年 左.286 右.295
今季は右投手に.308と安定感は変わらず、左投手には.345と逆転現象が起きている。
本人は「難しく考えないで、常にセンター、センターと考えている」と多くを語らないが、東出打撃コーチは意識の変化が大きいと考える。
「強い打球を打たないといけないという意識がないんじゃないかな」
昨季まで徹底マークからかかとに重心が乗った打撃になる傾向があり、外角球に力強く振り切れなかった。また内角球を強く打ち返そうとする意識が自然と右肩の開きを早くさせる。
「崩した」のではなく、「崩されていた」のだ。
「やることは変わらない。ストライクを打つだけ」
今季は構えのときに右足が開いているが、それすら「そうですか。そうなっているということはそうかもしれません」と気に留めない。煙に巻くわけではない。「本人は本当に意識していないと思いますよ。僕もそこは見ていません」と迎打撃コーチ。考えは至ってシンプル。大きく上げる右足で捕まえる感覚だけだという。
打撃フォームに大きな変化がなくても、考え方がよりシンプルに変わった。
パ・リーグの投手と対戦する交流戦で首位打者争いを演じても「(投手の)球の軌道が分からないというのはある。でもやることは変わらない。ストライクを打つだけ」とサラリ。