プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人で埋もれた才能を掘り起こせ!
鹿取新GMに託された育成の再建。
posted2017/06/16 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
泥沼の13連敗で球団ワースト記録を塗り替えた巨人が、その責任を取らせる形で堤辰佳GMの事実上の“解任”を決めたのは6月13日のことだった。
後任に指名されたのが4月にGM特別補佐に就任したばかりのOB・鹿取義隆氏。2011年のGM制度導入以降、親会社の読売新聞社の記者出身GMが続いてきた巨人では、初の選手出身の編成責任者の誕生となった。
そもそも今回のGM交代劇はチーム低迷の責任を取って、堤前GMが辞任を申し出たということになっている。誰かが責任を取らなければならないという考え方は、よくありがちな組織の論理ではある。ただ、本当は現場の勝敗への責任は監督が負うべき問題で、スジ論からすれば、高橋由伸監督が辞表を提出すべきということになるのかもしれない。
ただ、就任時に長期的な視野でチーム再建を託したことを思えば、就任2年目の、しかもシーズン途中に責を問うことは、あまりに理不尽であり論理の破綻でもある。
そこで極めて会社組織的な論理で、サラリーマンGMの首が飛んだ。それが今回のGM交代劇の本質なのは誰の目にも明らかだった。
V奪回の至上命令の元での補強は間違っていなかった。
その一方で、そもそもこれだけチームが低迷する原因がどこにあったのか。その冷静な分析もこの機会に改めて行うべきだろう。
連敗中には巷で盛んに昨年の補強失敗と今回の連敗を結びつける論法が多かった。ただ、このコラムでも書いたが「V奪回」という至上命令の元で行った堤前GMの補強は決して間違いではなかったはずだ。
リードオフマンのいない打線の一番候補に陽岱鋼外野手を獲得。故障がちの阿部慎之助内野手がフルシーズン出場できないという前提で、ケーシー・マギー内野手を獲得し、村田修一内野手の3人で一塁と三塁のポジションを埋めることにした。これは一昨年、昨年と阿部が欠場した際に、大幅に得点力が下がったことがV逸の要因という分析への手当てで、至極当然のものだったはずだ。