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野球の応援は“究極の片想い”か。
仙台の地で巨人と牛たんで泣く。

posted2017/06/15 11:00

 
野球の応援は“究極の片想い”か。仙台の地で巨人と牛たんで泣く。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

「絶品 銀次の海鮮箱」「藤田一也の牛めし弁当」「シマシマ弁当II」……スタジアムには選手とコラボしたお弁当が並ぶ。

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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Yasutaka Nakamizo

 交流戦で空気も変わる。

 巨人の連敗も今日で止まるだろう。

 5月30日午後、脳天気にそう思いながら東京駅へと向かった。

 今日は待ちに待った交流戦開幕日。過去セ・リーグのチームで優勝経験があるのは2012年と'14年の巨人だけ。ここは上位の広島や阪神との差を一気に詰めるチャンスでもある。しかも、いきなりKoboパーク宮城でパ・リーグ首位の楽天との3連戦。初戦の先発はエース菅野だ。よし絶好の逆襲の舞台が整った。行くぞ仙台。

 ……ってすいません、今思えば、俺は甘かった。

 新幹線“はやぶさ”なら東京からたったの1時間半。仙台に行くのは4年前の2013年日本シリーズ以来になる。あの秋、1、6、7戦と2週連続で楽天vs.巨人の日本シリーズを観戦するために、週末は遠距離恋愛に燃えるOLさんのようなテンションで杜の都へ通っていた。

 ルーキー菅野が24戦無敗の田中将大に投げ勝った試合も、翌日の田中の球史に残るリリーフ登板もこの目で見た。「確かあの第6戦、マー君からタイムリーを放ったのは由伸だったなあ」なんてザ・クロマニヨンズをBGMに回想していると、はやぶさはあっという間に仙台に到着。この1時間半という所要時間は近すぎず遠すぎず、日常からエスケープするひとり旅としては絶妙な距離だと思う。

「一歩前進、二歩前進、人生と同じですね~」

 さっそく駅近くのホテルに荷物を置いて、リュックに菅野タオルやポケット選手名鑑を詰め替えると、仙台駅前発のKoboパーク宮城行きシャトルバスの列に並ぶ。

 この連載『ぶら野球』を始めてから気付いたけど、球場へはタクシーよりもバスで行った方が地元ファンの生の声が聞ける。

「仙台駅東口商工事業協同組合 楽天イーグルス・マイチーム協議会」と書かれた松井裕樹のフラッグがはためく真下で、整理員の陽気なおじさんが「本日は大サービスで13両来るからね~。車内に入ったら一歩前進、二歩前進、人生と同じですね~。お待ちかねの巨人戦だからみんなで行ってみんなで応援しましょう」と軽快なリズムで誘導。それを聞いた家族連れが「またあれ言ってる。定番ネタなんだね」なんつって笑顔で突っ込む平和な雰囲気だ。

【次ページ】 バス車内に流れるのは楽天・岡島のアナウンス。

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