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AFCが済州に下した処分を検証する。
日韓サッカー騒動史に新たな視点を。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/06/10 08:00
結果的に、世界中のメディアが報じるほど大きな問題になった浦和vs.済州戦。この事件から、我々は何を学ぶことができるかが大事である。
実は……済州側は日本には謝罪していない!?
2日後、日本の一部メディアは「済州側が公式HPを通じて謝罪」と報じたが、これについて少し細かく説明せねばならない。
確かに済州は2日付で「クラブ一同」の名義にて公式声明を発表した。だが詫びたのは「済州ファンに対して」、「よい結果を残せなかった点」についてだ。
一連の事態については、遺憾の念を伝えるに留まった。
浦和に対しては「8強に進出した浦和レッズにお祝いの言葉を伝えます」「この先のACL、Jリーグの試合での幸運をお祈りします」と伝えた。
一方で、済州ファンに対する言葉としてこういった点も記している。
「クラブは自主的に映像、写真、陳述などを確保し、該当事件ならびに当時発生した浦和側の不適切な行動に対して積極的に対応することをお知らせします」
自分たちが挑発された、と浦和を訴える。
AFCの規定でも映像、写真、陳述は証拠として使用できることになっている。
確かに試合中にピッチに乱入し、阿部勇樹にひじ打ちを食らわせたぺク・ドンギュが謝罪に訪れるという報道が出た。これは当日あったふたつの事態のうちのひとつについての対処だ。
試合終盤の浦和コーナーキック後の乱闘、そして試合終了後の暴行。
前者は韓国国内でも大きな批判を受けていた。この点は100%の非を認め詫びるが、かわりに後者は徹底的に対抗する。こういったスタンスだった。
日韓に横たわる「謝罪の文化」の違い。
事態を観ながら、感じるところはいくつかあった。
まずは謝罪の文化の違いだ。
「謝らない済州への怒り」は起きて当然でもあったが、ここへの批判にパワーを注ぐのはあまり有益ではない。
相手を弁護するということではない。
文化の違い、というものは“違うものは違う”というものだ。なぜ謝らないのかを論じるなら、博士論文にでも頼るしかない。