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AFCが済州に下した処分を検証する。
日韓サッカー騒動史に新たな視点を。
 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/06/10 08:00

AFCが済州に下した処分を検証する。日韓サッカー騒動史に新たな視点を。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

結果的に、世界中のメディアが報じるほど大きな問題になった浦和vs.済州戦。この事件から、我々は何を学ぶことができるかが大事である。

今回重要なことは、仲裁機関への主張だった。

 謝罪の文化、というのは日本よりも朝鮮半島の方が“西洋的”だ。

 謝るということは非を認めること。出来る限り謝らないことを考える。それは揉め事をまとめる最終手段。日本の“まずは謝るのが当然”、“その後に事情を説明する”という感覚とは違う。

 今回の件でも韓国メディアの報道では(あくまで韓国側の言い分では)、試合後槙野を追いかけたクォン・ハンジンの「浦和の選手が『槙野が悪かった』と謝罪してきた」とのコメントがあった。「謝罪した」=「非を認めた」ということであり、これは相手にとってはツッコミどころということになる。もう言い出したらキリがない。

 重要なのは、議論のベクトルをよりストレートにゴールに向けることだ。

 今回の場合、仲裁機関(AFC)に相手への強い処罰を求めることだった。この点は筆者自身が即座に取り組めなかった点を反省するところでもある。

 ルールはAFCの規定として文書化されているのだ。ここから逆算して物事を考えるべきだ。時間を置いてようやく、今回の件は2013年の東アジアカップ時(韓国での日韓戦で双方から政治的メッセージと取られかねない掲示物があった)と少し似た面があることに気づいた。こちら側にも指摘されうる部分があった点では「強く主張しきれない」のではないかと。

日韓サッカー騒動史でも特異な事件となった。

 確かに衝撃度の大きい事件だった。

 日本のホームで起きた点、暴力行為があった点、それも選手が起こした点が近年の日韓サッカー騒動史でいえば、これまでになかった事態といえる。

 2011年のアジアカップカタール大会日韓戦でキ・ソンヨンがゴール後に猿のものまねをして日本を挑発した、と騒動になった件は「差別」だった。

 2012年のロンドン五輪男子3位決定戦日韓戦後にパク・ジョンウが日韓の領土問題に関する政治的メッセージを掲げた件は「政治的メッセージ」。

 上記の2013年の東アジアカップ日韓戦時や今年4月のACL川崎フロンターレの件(旭日旗の問題)も同様の「政治的メッセージ」の一環だ。

 いずれも現場は中立地か韓国だった。

「また韓国との間で揉め事か」

 そう思った向きもあるだろうが、じつは日本で起きたというだけでも相当なインパクトなのだ。だからこそ大きな教訓を得るべき機会でもある。

【次ページ】 「堂々とロジカルに」これが健全な日韓関係を築く。

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